平成15年5月31日
第61号
NPO 岡山県自閉症児を育てる会
目次
今年度は・・
ボランティア交流・研修会の報告
アンケート集計結果
ボランティア交流・研修会に参加して
第1回・第2回 支援者養成セミナーのお知らせ
5月度支援者養成講座報告
アルメリアの会のお知らせ
電話相談・カウンセリング講座の報告
カウンセリング講座を受講して
第2回 AAO活動のご案内
6月 キッズルームのご案内
夏合宿について
サッカークラブ・水泳教室・女の子の会 の お知らせ
勉強会のご案内
OHAの会・つくしんぼの会・ゆりかご講座・将来を考える会
私のお薦め本 「おばあちゃんの孫育ち」
掲示板・事務局だより
日中は夏を思わせるような暑さですが、朝夕はまだまだ肌寒いですね。
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
健康管理が難しい時期ですが、子どもも親も元気に過ごしたいものです。
今年度の会報の巻頭文は、代表の大杉・上西・そして私国定の三人で毎月交代しながら書いていこうと思います。それぞれの人の色が出て「今月は誰かしら?」と楽しみな会報になると思いますのでお楽しみに。
先日5月11日(日)に北ふれあいセンターにてボランティア交流&研修会を行ないました。当日は大雨という悪天候でしたが、たくさんのボランティアさんが参加してくださり、ボランティア登録をしてくださいました。本当にありがとうございました。
育てる会にとって、このボランティア交流&研修会は本当に大切な一大イベントです。
一人でも多くの方に自閉症のことや、子どもにとって必要な活動にどうしてもボランティアさんの協力がなくてはならないことをわかっていただきたくて毎年開催しています。
ところが今年は準備段階で出席できる理事が3分の2しかいなくて大慌てでした。(今まではほとんど総出でやっていたのです)
それに加え会場設営のため2階の倉庫から机やパネルを運び込むという作業もあり、色々な方にお願いすることになりました。休日で子ども達も家にいて大変だったと思いますが、快くお手伝いして下さった会員の
INO さん、SAKUさん、SAIさん、YAMA(父)さん、ボランティアの堀さん、丸山さん、去年まで事務局を手伝ってくださっていた佐藤さん、本当にお世話になりました。
そして何より嬉しかったのは、閉会後の片付けに初参加のボランティアさんがたくさん残ってくださったことです。
倉庫へ机を運び込み、大体終わったところで「あとは大丈夫ですから。お世話になりました。」とお礼申し上げたところ「お手伝いしたいのです。」と最後まで残ってくださいました。
そして、会場に戻ってみるとまたびっくり… 「こんなにたくさんの人が…」
もう嬉しくて嬉しくて、暖かい春風に包み込まれたようでした。
本当に皆さんありがとうございました。今年も素敵な出会いができて感謝しております。末長くお付き合い頂きますよう、よろしくお願い致します。
ところで、今月は『将来を考える会』第1回を予定しております。
後ろのページでも担当の大杉さんからの案内がありますが、年齢制限はありませんので関心のある方どうぞご参加下さい。
みんなで意見を出し合って子ども達にとって、そして親にとっても安心できる場を作っていきたいと思っています。また、将来きちんと仕事のできる人にするためには「今、何をすべきなのか」ということも考えなければなりません。
そして、昨年も大好評だった河島先生のセミナーを今年度は3回開催する予定です。6月22日に開催される第1回支援者養成セミナーの準備では、大勢の方が印刷や発送のお手伝いをしてくださり、中には地元の教育委員会まで持っていってくださる方まで。
「お忙しいのに申し訳ない」と思いながら、無理を承知でお願いしましたところ、どのお母さんも可能な限り引き受けてくださり、本当に感謝しております。
皆で一緒に取り組むことができるのは素晴らしいことだと思いますし、学校や幼稚園・保育園などで、実際に自閉症の子ども達と関わっていらっしゃる先生方に対して、県と市の教育委員会より後援をいただけることにより広報できることを大変ありがたく思います。
大勢に支えられてのセミナーです。
是非たくさんの方にご参加頂き、学校や家庭で取り組みの参考にして頂けたらと思います。
M.K
ボランティア交流・研修会の報告
5月11日(日)岡山北ふれあいセンターマスカットホールにおいてボランティア交流&研修会を開催し無事終えることができました。
雨にも関わらずボランティア51名・スタッフ18名・小西先生で、総勢70名が参加してくださいました。本当にありがとうございました。
午前の部は昨年同様、自閉症を理解していただくためのビデオ(レインマン、学校3)を上映、続いて会の活動紹介、そしてすでにボランティアとして活動に参加されている川崎医療福祉大学の工藤友美さんと岡山大学の内村一幸さんに体験談をユーモアも交えながら楽しく語って頂きました。
お話を聞いて「ボランティア登録をしようかな」と思われた方も多かったようです。
そして午後の部は、旭東保育園の障害児クラスを担任されている小西淳子先生をお迎えし『私が自閉症と出逢った頃…そして今』と題して講演をして頂きました。
先生の豊富なご経験の中から、「自閉症と言っても本当に色々な子どもがいるのだ」ということを、事例を上げながらとてもわかりやすくお話して頂きました。
「中には関わりの難しい子どももいるけれど本気でつき合うことにより気持ちが伝わり分かり合えるのだ」ということ「大変だっただけにその喜びは大きかった」など思いがひしひしと伝わってきて、思わず涙がこみ上げてきました。
ひとりひとりの子どもとの出会いを「初めての出会い」として大切にされている小西先生のお話は、私たち親にとってもとても勉強になりました。
最後に手記を朗読して、「告知間もない頃の親の思いや行動、家族や地域の人たちとの関わりの中でどのように障害と向き合っていったのか」をお伝えしました。
毎年このボランティア交流会でたくさんのボランティアさんとの出会いがあります。
皆さんの目が“キラキラ”と輝き、素敵な笑顔です。私たちは本当に幸せです。
こんなにも多くの方が自閉症の子どもを理解しようとして下さっているのですから…。
「また、1年頑張っていこう」と元気を頂きました。
最後になりましたが、お忙しい中お越し下さった小西先生をはじめ、発表を快く引き受けて下さった工藤さん、内村さん、交流会の準備、片付けなどお手伝いして下さった皆さんありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願いします。
(M.K)
ボランティア交流・研修会
アンケート集計結果
Q.自閉症という障害が理解できましたか。
理解できた
まあまあ理解できた
よくわからない
14
31
0
Q.自分もボランティアをしてみたいと思いましたか。
思った
思わない
わからない
44
0
2
Q.参加してみたい活動はどれですか。(複数回答あり)
AAO
キッズルーム
水泳教室
サッカー
25
33
18
17
夏合宿
山登り
託児
29
11
24
Q.今回このボランティア研修・交流会に参加して
よかったと思いますか。
思った
思わない
49
0
Q.この研修・交流会に参加したきっかけは。
チラシを見て
友人知人に誘われて
サークル・学校
インターネット
19
12
10
6
続いて、ボランティア交流会に参加された方よりお便りを頂きましたので紹介します。
〜ボランティア交流・研修会に参加して〜
外は5月というのに一日中雨の降る寒い日でしたが、北ふれあいセンター・マスカットホールは来て下さったボランティアさんまた育てる会のお母さん方の熱気にとても心が温かくなるような元気がもらえる一日となりました。
今年度、水泳教室担当をしている関係でお誘いを受けて初めて参加させていただきました。
会場作りの手がいるからと軽い気持ちで出かけたのですが、ボランティア体験談発表では先輩ボラさんから、子どもと楽しく関わっている様子を聞きとてもありがたく思いました。
親が身構えてしまうこともボランティアさんによって実現することができます。
講演の旭東保育園の小西淳子先生講演では、自閉症との出会いからなぜ子ども達にボランティアが必要なのかをお話いただきました。
先生のお話の中には、みんなに伝えたい私にとって大切な言葉がいくつもありました。
「思うだけでなく、考えるコト」
「自分の関わりに責任を持つこと、それは心をつくして関わっていくこと」
「一人前の大人になるために、家族が楽しく暮らせるために」
子どもが人と人との関わりを学び、成長すること、周りが関わっていくことに責任を持つこと、また家族を支えてあげることなどたくさんのエールを送っていただきました。
グループディスカッションでは、先輩お母さんと私で進行をしました。
自己紹介からボランティアをして困ったことなどお聞きしたのですが、私の活動不足や説明不足で話がまとまらないものになり申し訳ありませんでした。
ボラさんがやってみようという気になっていただけたかどうかは不安がありますが、私自身わが子もボランティアさんに関わっていただきたいと思ったのは確かです。
一人でもボラさんが増えるとうれしいですね。育てる会はボランティアなくしては成り立ちません。
これからもどうぞよろしくお願いします。
(M.S)
毎年「また新たな一年が始まった」と思うのがこのボランティア研修・交流会です。
親御さんと出会い、様々なボランティアさんと出会い、この一年はどんな日々になるんだろうと、とても楽しみになります。
私が始めてボランティア研修・交流会に参加したのは三年前でした。
お母さん方のパワー、先輩ボランティアさんのパワーに圧倒され、かなりドキドキしながらの初参加でした。子どもに会うことを楽しみにするとともに、子どもに関わることが将来につながることへの責任を感じていました。
あれから今年で四年目、初々しさはなくなりましたが、先輩ボランティアとして今までの育てる会でのボランティア体験をお話しするようになりました。
初参加のボランティアさんが「初めて自閉症児と関わる時どのように接したらいいのか」「活動はどんなことをするのか」といった疑問を話していました。
四年前私も同じことを思っていたのを思い出しながら、私のボランティア体験や思いなどをお話ししました。また他の先輩ボランティアさんの体験談や思いも聞くことができ、大変充実した話し合いができたようにおもいます。
今年は少しですが、準備の方もお手伝いしました。
初めてボランティア研修・交流会の舞台裏(?)を見たわけですが、理事の皆さん・事務局スタッフさんに支えられているからこそ、ボランティアすることが出来ているなぁと改めて思いました。本当に頭が下がる思いでした。まさしく縁の下の力持ちですね。
今年もみんなで子どもたちのよい土となることができるようがんばりましょうね!
(丸山 由里)
5月度 支援者養成講座 報告
5月14日(水)太陽の家にてトモニ療育センターの河島淳子先生による支援者養成講座が開催されました。
今回も事務局スタッフ・鳥羽紗代がその様子についてレポートいたします。
今月は先月に引き続き、家庭療育・身辺自立の必要性について、「わかば作業所」での実践や参加者の質問を交えながら、大変ためになる講義でした。
生活習慣を身につける |
生活習慣とは食事・排泄・衣類の着脱・洗顔・歯磨き・入浴・睡眠などの生活の基本となるものです。これを身につけることは、どの子どもにとっても必要なことです。それぞれの年齢相応の生活習慣を身につける努力は親がしていかなければ身につきません。
河島先生
「ただし、やりすぎは禁物。うるさく口を挟みすぎるとどうすればいいのか分からなくなってしまうからです。カードを使ったりスケジュール化したりすることによって声掛けを減らしていきましょう。そうすることで子どもにも自信がつき、心の自立へと発展していくのです」
「長い時間をかけて焦らず怒らずしっかりとやり方を教えていきましょう。何故できないの?と思うぐらい分かるまでに時間がかかる、それが自閉症の障害なのです。何かを悟るかのように、ある時を境にできるようになるのです」
「『この子にはできないだろう』と親が思ってしまっていることは絶対できるようにはなりません。『これをできるようにしたい』というテーマをもって親がしっかりと一貫性を持って接していく。できないところはどこなのか、細かくステップを踏んで分析する必要があります。可愛がっているだけのお母さんが一番よくないのですよ。」
「障害のためにどうしてもできないことと、がんばれば出来るようになることとはきちんと分け、接し方も変えなければいけません」
例えばということで、トモニ5号の稲荷さんの実践レポートから引用されました。
排泄では・・
「靴ははける」
「ドアを閉められるか」
「ズボンやパンツを自分で脱げるか」
「便器に正しく座れるか」
「ペーパーを必要な量だけ切れるか」
「ふいて捨てられるか」
「パンツをあげて服を着られるか」
「カギを開けて出られるか」
「蛇口を開き、手を洗えるか」・・・
河島先生
「どこまで子どもにできているのか。今何をできるようにさせたいのかを考えて短期目標・長期目標を立ててしっかりと関わっていくことが大切です。
また、夫婦・家族間で子どもの身辺自立への思いを一致させておく必要性。
子どもに『この人の前では我が儘が通るぞ』なんて駆け引きをさせない!」
洗顔も「一人でできています」と言っていても、実は手でちょいちょいと水をつけているだけだったり、ニキビができてきてから慌てて石けんや髭剃りなどのやり方を教えても、嫌がって子どもはなかなかすることができないそうです。
河島先生
「小さいころからしっかり将来を考えて、教えていく必要があります。『今できなくてもそのうちに・・・』ではいつまで経ってもできるようにはなりません」
「女の子の髪の毛も、本人がくくったりできないのに伸ばしていると、感覚遊びに使ったり、悪い方向へいくこともある。本人が自分でできるようになるまでは短めにさっぱりとした格好をさせましょう」
ボタンやベルトやホックなど、「なかなかさっとできないから・・」と自分でやらせていないのではなく、小さい時から時間がかかっても、一つ一つ練習させておく必要性があります。
河島先生
「将来素敵なレストランでお食事できるような大人に育ててほしい」
思春期のこどもへ |
まわりからみたらどういう風に見えるかとか、外で言うと恥ずかしい発言とか、「恥ずかしいでしょ!!」では、自閉症の子どもはイメージがわかないので困ってしまいます。
河島先生
「‘ここはだめだけど、この場所ならいいよ’と場所を決めるか、家でもやめさせることが大切です。子どもに分かる言い方をしてあげてください」
また、よく「人に危害を加えない子どもにしたい」とおっしゃるお母さんがいますが、その場合、他のこともきちんとできないと難しいそうです。
河島先生
「二次的・三次的障害をつけないようにするためには、しっかりとした療育方針を持って接してほしい。大きくなってからでは抵抗が激しく大変です。親が子どもの家来にならない関係作りをしておくことと、一度決めたことはやりぬくことを目標にがんばってください」
食事についても量を考えて「一人前」分で我慢させることが大切だそうです。一度肥満してしまうと、自閉症の人たちにとってやせる努力は大変です。こちらの療育一つでやせるも太るもコントロールできるはずなので、しっかり取り組みましょう。
午後は参加者からの質問を時間の許す限り先生に答えていただきました。
● トイレで用を足せないのですが・・・
落ち着いて用が足せるような空間にしてあげることがポイント。
おもらしをするようなら、24時間チェックしておいて、大体のペースをこちらがつかんで対応する。記録をとってうまくできたら褒めることを繰り返すことによって成功が増えていくはず。
● かわいがることとしっかり療育をすることの違いは・・・
子どもが小さい時から、あまりきびしく縛りすぎるとよくない。かわいがって大事にしているという思いで接していると、子どもにもそれが伝わって自然に親の言うことを聞くようになります。(安心する)
子どもの長所を見つけて次々と認めてあげましょう。
● 服の身だしなみがイマイチなのですが・・・
全身を映す鏡を一枚用意して、自分で服のはみ出しなどのチェックをさせる。
● 鉛筆やお箸の持ち方がまだまだ・・・
小さい頃に指や手を動かす遊びをたくさんやるとよい。
でも、「あれもしないとこれもしないと」ではなく、もっと子育てを楽しみましょう。
● 着替えが遅いのですが・・・
次のスケジュールによって行動を速める練習をする。次に楽しいことが待っていると思えば自然にすばやくなる。
テレビを見ながら・・・ではできるようにならない。しっかりさせたいのであれば、それ一つに集中させるべき。
● 皿洗いで石鹸の泡が取れていない・・・
石鹸で洗ったあと、水を張ったタライにつけてそれから流せばいい。何事もアイディアひとつ。
● トイレできちんと拭き取れない・・・
目の前のしょうゆなど汚れが拭き取れますか?また身体に貼ってあるシール(バンソーコーなど)をはがすことができますか?
見えるものを拭き取る力が身につかないと、身体の下の方までは気がまわっていかないということ。
● 消しゴムの使い方が分からないようで・・・
小さいおろし金でしょうがを擦ることによって手の動かし方を身につける。
● 片付け方がおかしいのですが・・・
他人に迷惑をかけないでいるものは子どもの自由にさせてよい。あまり干渉してはだめ。
「お母さんはこっちの方が便利だけどなー」という風にうまく関わっていく。
● 一品ずつしか食べられない・・・
小盛りにして、少しずつ食べる練習をすることが大事。
「牛乳は後から飲ませる」と決めるのならば、しっかりそれを一貫させる。
一人一人の質問へも療育方法をさっと明示していただき、皆さんは答えをいただけて、やる気に満ちた顔で帰られたようでした。ただし、先生が言われたようにあまり無理をさせすぎないように気をつけてがんばってみてくださいね。
いよいよ6月には待ちに待った支援者養成セミナーがあります。
6・7月には支援者養成講座はおやすみですが、しっかり支援者養成セミナーを聞いて、明日への指針をつかんでください。
去年の河島先生の講演会のビデオも、会員の皆様には事務局で貸し出ししています。
予習をしてみたいという方は事務局までご連絡下さい。
(事務局:鳥羽 紗代)
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「案内板・伝言板」に、また特にみなさんにお伝えしたい記事などは「育てる会ライブラリー」に載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費
3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。