sorry, Japanese only

平成10年12月29日

第 8 号

岡山県自閉症児を育てる会


目次

会の目指す道
1月例会のお知らせ
水泳教室会員 募集
近隣の講演会の御案内
新刊本の御紹介
入会案内と総会通知
入会申込書

会の目指す道

 今年もいよいよあと数日を残すのみとなりました。皆様にとって今年はどのような年だったでしょうか?
 育てる会の会員募集を最初の講演会の頃から募り始めて、もう1年が過ぎようとしています。その前身の「岡山県自閉症児をもつ母親の会」としての発足からですと1年半近くが経とうとしています。
私達世話人にとっては長かったような、短かったような、ともかく走り続けてきた一年半でした。

 ここらで少し落ち着いて、来年以降の会の方向性をもう一度確認しあおうと、先日世話人が集まって研修合宿を行いました。ボランティアの方や、賄いボランティアの方(賛助会員のお母さんたちが泊まりこみで食事を作って下さいました)、アドバイスしてくださる先生方などにめぐまれ、おかげで明け方近くまで話しこむことができました。

 その話し合いの中から、会の新しい姿が見えてきましたので、発表させていただきます。

 まずは、会の目的の再確認。これには、日本自閉症協会岡山県支部との兼ね合い、棲み分けをどうとらえるか、というのが大きなテーマでした。ともに自閉症児・者の幸せを考えている会ですし、事実メンバーも結構重複しています。

 話し合って出てきた結論から言いますと、「私たちは原点に戻って、我が子たちが地域で自立して(もちろん援助を受けながらですが)、普通の生活、幸せな人生をおくって行けるよう、我が子たちを育てていこう」、というものでした。

 もちろん、自閉症児・者たちを取り巻く環境・将来を考えた時には、行政・教育界に対する働きかけや、社会に対する啓蒙、初めて告知を受けられた方へのサポート体制、自閉症者の生活を支援するセンター的な施設の建設など、欠かすことのできない必要な施策はたくさんあります。
 ただそういった公的なものや、ハード・システムに関わるものの実現に向けての動きは、私達の会の手にはとうてい余るので、これは自閉症協会の力に頼らざるをえないのではないか・・・・というのが、話し合ってでてきた結論でした。
重複して活動している方も多いので、競合する必要はなく、こういった方面での運動は各自が自閉症協会としての活動の中で行い、
私たちの会は、あくまで我が子達を育てていくこと、みんなで力を出し合って子ども達を育てていくこと、それに全力を注いで行く会にしたい、これが世話人会の確認事項です。

 つぎに、では子どもたちを、どういう風に育てていきたいのか? という方向性の話になりました。私たちは任意団体ですし、できるなら同じ価値観、同じような方向性を持って進んで行きたいと思います。

 話し合いの中ででてきたのが「一人前(いちにんまえ)」という言葉でした。
一人前の男、一人前の女」。
自閉症という障害は持っていても、「
一人前の子ども、一人前の大人」。

 具体的には、自分で自分を律すること、コントロールできるような子に育てたい、というのが世話人の間での共通認識でした。
いま自閉症の療育においてはいろいろな療法が試行されています。
 自閉症としての障害は認めながらも、なんとか伝えられるコミュニケーションの手段を活かして周囲が子どもを支えて行こうというシステムや、子どもの気持ちを受容していくことにより人間相手の意識・関係をつけ援助して行こうという方法や・・本当に多種多様です。

 私たちの会としての目標は、例えて言えば、いつも通る道が工事中で通れないとしても「そんな事ぐらいでパニックおこすんじゃないよ」、
工作でちょっと失敗したからといって「一人前の男だろ、そんなことぐらいで顔をたたくんじゃないの」
そんな言葉かけで、自分を律することの出来る子に育てたいということです。

 パニックはなによりも本人が辛いはずです。自分の力で自分を制することの出来る子にしてやりたい。そこから抜け出せる力を持った子に育ててやりたい。もちろん不要なパニックがおこらないように環境を整え、構造化することは周りの支援者の役割ですが、やむをえずハプニングが起こって不測の事態が襲い掛かってきたとしても、一人前の青年として暴発しないで自分を律することができるよう、自らの行動に責任を持てる一人前の男(女)となれること。
 それを今後の会の目指すものにしたいと思っています。

 自閉症児の療育に関しては考え方も多く、私たちもこの考えをみなさんに押し付ける気はありません。この「育てる会」もいろいろな療育機関の選択肢の一つとして、同じような考えを持った方に選んでいただければ、と思っています。

 次に話題になったのが、来年一年間の活動内容。子どもの療育のため、と思っていたのが、いつのまにか行事を消化していく団体になってしまっていたのでは、というのが反省材料でした。

 来年からは少し腰を落ち着けて、子どもと向き合っていける活動情報交換の場や将来の糧となる活動などに絞って行きたい、というのがみんなの意見でした。 具体的には講演会や、先輩のお母さんを囲んでの座談会定期的な学習会、それに水泳教室山のぼりなどです。

 それでも、話しているうちに「やっぱり夏には研修旅行かキャンプがしたいね」とか「年に一回ぐらいは木工教室を」などと話がはずんで、やはり今年とそんなには変わらない活動になりそうです。


 さて新たに来年から、と考えてでてきた活動内容に、お母さんのための絵画教室会報の充実、それに相談日の設定があります。

 まず絵画教室について。今年の「子どものための絵画教室」の反省から、「なにより、最初からうちの子は絵を描こうとしなかった」「同じパターンの絵ばかり描き続ける」
といったような自閉症特有の問題が多いことがわかりました。そこでまず、いかに楽しく絵筆を持つことを教えるか、という観点からお母さんにその秘訣(?)を伝授することから始めようと、絵心のある山本ひとみさんにお願いして「お母さんのための絵画教室」です。

 つぎに会報の充実、これには各自の持っている情報の積極的な公開と意見の発表、これが不可欠です。少なくとも、正会員の方には何かアンケートでもあったときは、必ず意見まで書いて返答する・・これを絶対条件にするのが希望です。(・・以上編集局よりの熱望でした)

 それから「相談日」設定の件。私たち世話人たちもみんな、初めて告知を受けた頃、相談する機関や人もわからなくて心細い思いをしたのを覚えています。私達は専門家でも療育のプロでもありません。でも同じ自閉症児を持つ親として、相談にのり、一緒に考えていくことだけはできます。ただ私達も自閉症児を抱える母親、せめて日にちと時間を決めて交替で担当を勤めるつもりです。また次回の会報ぐらいで詳しい予定はお知らせします。

 最後に規約の改定や事務連絡など。

一年目は年会費 1,000円でやってきましたが、実際は会報の郵送代だけでも足が出る実情でした。
ましてや、来年からさらに会報の充実を宣言した以上、その印刷と郵送代だけでも・・・・計算してみるとそれだけで 2,000円を軽く超え・・・・それに、行事が・・・・

・・・ 申し訳ありません。来期より年会費、一気に 4,000円です。賛助会員の方は 2,000円でお願いします。
(すみません。その後も会の活動が広がるにつれ、お母さん方のボランティアだけでは支えられなくなり、選任の事務局員を雇うことになりました。それにつれ会費も1年目1000円、2年目4000円、3年目6000円、現在は月1200円の年会費14,400円と上げざるをえなくなりました m(__)m 賛助会員は、3000円です。
正会員の方の中で、勤務の都合や遠隔地などで、会の活動に参加できない方にとっては、高く感じられるようになっってしまったと思っています。そのような方には、親や保護者であっても、正会員から賛助会員に移っていただいても結構ですので、一緒に「共に育てる」という思いだけは共有していきたいと思っている育てる会です。  2008.1)

 最後の最後に今年を振り返って。

私達の会、子どものより良い明日の姿を願って始めた会でした。
楽しいだけの会にしたくはありませんが、楽しんじゃいけないという会でもありません

 来年は親も子も少し肩の力を抜いて(それにしても、我が子たち、どうしてあんなに余計な所に力が入ってカチカチに緊張しているのでしょう?)、「自然体」でやっていきましょう。

 親も子もスッと立つ。それが本当に必要な時に、必要な力を出せる姿勢のように思えます。
来年もいっしょに頑張りましょう。よいお年を。


これまで「育てる会会報」はHPに全文をUPしていましたが、容量等の事情により、目次と巻頭文以外は
現在一時掲載中止にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「
今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「案内板・伝言板」に、
また特にみなさんにお伝えしたい記事だけは「
育てる会 ライブラリー」に載せるようにしています。

今後は、会報は会員の方への郵送でお届いたしますので、ご希望の方は賛助会員に申し込みをお願いします。
詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

 会報一覧   育てる会HPへ   てっちゃん通信HPへ