平成15年7月25日
第63号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
夏休み・・視点を変えて
第3回 支援者養成セミナーのご案内 (河島淳子先生)
8月 支援者養成講座のご案内
第4回 支援者養成セミナーのご案内(明石洋子さん)
第2回 支援者養成セミナー報告
第3回 アルメリアの会 より
電話相談の案内
夏合宿について
夏合宿 スタッフボラから一言・・
夏合宿 講演会のお知らせ一学期のAAO活動
サッカークラブのお知らせ
水泳教室のお知らせ
女の子の会からのお知らせ勉強会のお知らせ
OHAの会
つくしんぼの会 「あかつき作業所」を見学して
ゆりかご講座
将来を考える会私のお薦め本 「自閉症への親の支援 TEACCH入門」
掲示板
事務局だより
毎日暑いですね。
夏休みも何日か過ぎましたが、皆さんどのようにお過ごしでしょうか?
子ども達にとっては楽しい夏休みですが、親は一日中子どもと一緒。実に忙しくて大変です。
でも、考え方を変えると、一緒に色々なことが出来て楽しいかな?とも思います。
視点を変えて物事を考えたり見たりすると、気持ちが楽になったり面白い発見があったりするかもしれませんね。やはり、夏休みはワクワクします。
我が家では、一学期最後の日に「夏休み会議」をひらきます。
夏休みにどんな事をしたいか、それぞれの意見を出しあいます。
一番話が盛り上がるのは、どこかへ遊びに行くことですが、議長を決めて話し合います。
これは、我が子がやっと話が出来るようになったころから、そのうち学校できちんと司会などが出来るようになればいいなと思って始めました。
子どもを中心とした家族会議 なかなか面白いですよ。
今年はどんな意見が出るか、楽しみです。
学校から「やり遂げた!」「これだけは、やった!」と言えるものを、一つでも残せる夏休みにしようと言われてきたようです。
皆さんにやり遂げた事がお伝えできれば良いのですが・・・。
子どもばかり充実した夏休みを過ごしたのでは、もったいないので親も何か残せるものを考えたいと思いました。
子どもと一日中ほとんど一緒。やはり、一番大変な事は3度の食事。
今までの事を考えると、療育には力を入れていたけれど、食事はどうだったか。療育ほど力を入れていなかったように思います。
成長期の子ども達の食事、もっと考えていかなければ、と思いました。
自閉症は、脳の障害です。
少しですが、脳の発達を助ける食品を調べてみました。これから老化していく一方である私にも良いような気がしました。
本によると、『脳を動かすのに必要なエネルギーは、糖質(炭水化物)』だそうです。
長寿者の食事は、炭水化物が主で、やはり玄米が良いようです。玄米ご飯にごま塩をかけると、もっと効果的だそうですよ。
御存知の方も多いと思いますが、自閉症児には「レシチン」がよく効くそうですね。
脳の神経回路の働きが急速にしっかりしてくるようです。
その他、ある本に『自閉症児には、カルシウム・ビタミンをたくさん摂らせてください』と書いていました。
このような食品を摂ったからといって目に見えるわけではないので、良くなったかどうかは分かりませんが親としては、効果があるというものは試してみたいですね。長期間 続けると効果があるかもしれません。
今年の夏休みは、栄養のことを考えてメニューを作り、子どもと一緒に調理して夏休みの3度の食事を楽しみたいな、と思っています。
療育も兼ねているつもりですが、夏休み最後には何かご馳走してもらえると嬉しいな、とひそかに思っています。
子ども達は、何かきっと目標を持って夏休みを過ごす事でしょう。
夏休み後1ヶ月ほどになりましたが充実した時を過ごしたいものですね。
K.O
トモニ療育センター所長 河島淳子先生による
支援者養成セミナー 第2回 報告
7月5日、第2回セミナーが国際交流センターで行われました。
今回は、レポート形式で感想とセミナーの報告してみます。
<第一部 河島先生による講義>
先生が息子さんを指導された時、数字の読み書きができても数の概念が入らず、これでは意味が分かってお金を使うことができず時計も分からない、生きていきにくいと思い、それを獲得させるために様々な教材を作り、指導方法を考え、一つ一つ工夫をして教えられた。
『外側からは賢そうに見える子ども達の一番の問題は、「分かりづらさ・悟りにくさ」であり、まさに認知の障害だ。生半可な認知のまま思い込んでいるので、こだわったり、恐怖になったり、期待はずれになったりして、それが大暴れする原因になっているのだ。』
と知り、子ども達が起こす問題行動にも全て理由があると分かった。
『2次障害、3次障害は果たしてどうにかならないものか?
適切な教育をすれば変わる』という考えで、息子さんを育て、2次障害、3次障害をつけた作業所に通う青年たちを7,8年かけて指導し変えていった。
トモニ療育センターでは親を優れた療育者に育てることによって早期療育に取り組み、子ども達も教育にのって、力をつけてきている、ということだった。
高機能自閉症と呼ばれる子ども達についても触れ、「視覚的に強いという子ばかりではない。言葉がある子どもを詳しく検査をしてみると、視覚的な認知が弱く悟りづらく分かりづらいところを持っていることが多い。生きていく上での基本的な判断力が非常に貧弱なことも多く、そうなると高機能だと安心してはいられない。
むしろ高機能と呼ばれる子は、自分が不器用なこと・失敗することを知っている、他の子と違う事も分かってくる。
だから『しないの』『嫌なん』と拒否を繰り返し、問題が増え、周りから外れていく事が多い。
手の機能を磨き、見極める力、働く力,作業していく力をつけ、生きていくための力をつける教育が必要である」。
生活技術を身につけ、判断する力を育てやり遂げる力がついてくると、子ども自身が自信を持ち、判断する力がついていく、言葉がある子もない子も育てる方向性は同じだと思った。
<第二部 高橋先生・タイル算を学ぶ子供たちのビデオ解説と具体的な指導>
ビデオには数名の子ども達が出てきたが、どの子も学ぶ姿勢が出来ていて、幼稚園の年少児が静かに椅子に座っているのに驚いた。
最初の子どもは、課題学習として「1〜100並べ」。
磁石の数字盤を使って、100の仕切った空間に1から順番に数字のチップを一つずつ並べていく(マッチング)課題。
最初から1から100までを教えるのは、1〜10までと少しずつ教えていたのでは、なかなか100に到達しないからだ。
100まで並べる中で、長い間座っていることができるようになる。
初めは100まで分からなくても手を添えてさせることができる。
100(物の整理をする順番・数の並びを知る)まで順番に数字のチップを受け取り(100回指示に従いやり遂げる)、一つの枠の中に一つだけ置く(1対1対応)、数唱(3をサンと呼ぶ)し、枠(自他の区別・社会性のルール)の中に置いていく(社会性を身につける)。「ここにおいて」の言葉の中にも、指示に従い学習態勢をつくる姿勢をつくっていると分かった。
両手で並べると早くできる気がするが、左手は机の上に置き、片手で一つずつ置いていた。その方が集中するからだそうだ。
遊びと違い、学ぶべきことは嫌がっても手をとって、最後までさせきる事が必要。
そして、課題学習を適切にする中でやりとりを学び、相手の意図を読み取り、粘り強く努力する心が育ってくるのだと話された。
次はまだほとんど表出言語のない小学生男子だったが、学校で加減乗除と学ぶうち、分からなくなり自信を失った状態だった。
生きていくためにはただ計算ができることより、お金の意味が分かって使えること、時計が読めることが大切で、そのためには足し算、引き算の意味が分かって着実にできることが大切だと説明された。
分からなくなった子どもに対し、原点に戻りタイルを1〜10、10〜100と並べることから始まった。次にタイルを使い足し算から指導していくと、姿勢も良くなり、出ていた声も消え、笑顔が出始め、最後には自信に満ちたとてもよい表情になった。
ビデオを見てタイルを使う指導がどんなに有効かを知った。
「100円玉8枚」と「千円札1枚」を比べて、最初は「100円玉8個の方が(数が多いから)いい」という子どもも、「八百円は100のタイル8枚と同じ」「千円は1000のタイルと同じ」と知ると、必ず千円札を取るそうだ。数字やお金だけではイメージできなかったお金の価値をタイルの大きさで示すと、子ども達は目で見て大きさの違いがわかるので、お金の価値が分かるようになる。
数の概念を入れることが生きていく力をつけることに大きくつながるのだと話された。
できるように,分かるようになると、学ぶことが楽しく分かることが嬉しくなる、そして嫌がっていた子どもも、協力的にいそいそと学習するように変わっていった。
分かった時に素直に喜び自信を持った表情に変わる様子が後半のビデオでもよく分かった。
私達は、子どもが泣いたりわめいたりすると、行動だけに目を向け、その場かぎりの対応をよくしてしまいがちだが、何を子どもが訴えて今行動しているかを思いながら観察し、導くことができれば、子どもに共感ができ、よい関係ができていくと思った。
(河島セミナー担当:M.M)
【教職員の方より 良かった点・ご意見・ご感想】
将来に向けて、先の見通しを持って、自立するために、今必要なことをしていくことの重要性がよく分かった。こちらが諦めてしまったら何も始まらない、教育していくことの大切さを実感した。とてもよい講演会でした。
混乱しながらも、苦手だと思いながらも、子どもと共に乗り越えていく様子をビデオで見ることができたことが良かったと思います。貴重なビデオだと思いました。
具体的な説明がとても分かりやすかった。(VTRや実物での説明など)子ども達を指導していく中において、細やかで一貫した目標を持って根気強くすることの大切さがよく伝わってきた。常に子どもの将来を見通して今日の指導を行なうということ。勉強になりました。
今年初めて、4年生の自閉症児童を担任しています。その子のことを思い浮かべながら、「こんな教材で、こんな風に指導したら、きっと効果的なんだろうなぁ」と色々思いを巡らせながら拝聴させていただきました。
とても熱意のあるお話で、また多くの実践に裏付けられたすばらしい実践の数々は感動的でもありました。これを感動に終わらせるのではなく、現場(学校)でぜひ実践していきたいと思います。子ども達の伸びる力を信じて・・・。
【保護者の方より 良かった点・ご意見・ご感想】
タイル算がいかに合理的にできていて、なかなか分かりづらい自閉症の子ども達にも、数の概念が入っていきやすいというその有効性が実技やビデオを通してよく分かりました。
実際にビデオを見て、また教材を見せていただきながらの説明はとても分かりやすく、参考になりました。また、それと同時に子どもの分かりにくさ・教えにくさも感じました。それだけに子どもが分かった時の笑顔はすばらしいと思います。
「自閉症児が私達と違う世界に生きているとは思えないんです」とおっしゃられた言葉、生きていく力が充分あること、諦めてはいけないことなど、とても前向きに頑張っていこうという気持ちになれました。ありがとうございました!
つくしんぼの会
つくしんぼの会では、7月9日に玉野市にある『あかつき作業所』へ見学に行きました。
その時の感想を参加されたお母さんが書いてくださった文章です。
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
会の行事の予定は育てる会の「今月の予定」に、近隣の講演会等の案内は「案内板・伝言板」に、また特にみなさんにお伝えしたい記事などは「育てる会ライブラリー」に載せるようにしています。
容量は小さくなりましたが、ご覧いただければ幸いです。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費
3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「育てる会 HP」に記載しています。