2000年度就学問題について

     ==== 2000年度就学問題 概要 ====

      今年も就学指導で不可思議なことが起こっています。
     1999年12月9日 第1回就学指導委員会に始まり、
     2000年2月3日 第2回就学指導委員会、
     そして、4月に至るまでの経過。

     以下は、第1回就学指導委員会以後、ひとつひとつ明らかにされた記録です。           


1999年

12月9日  第1回就学指導委員会
 S学園(ここがS市はじめ周辺の市町村まで含めた知的障害児通園施設として、教育福祉の中心的役割を果たすべきところなのですが)の学園長が、
保護者の希望、専門のドクターの診断、S学園内の議論を無視する形で情緒の学級希望の子どもについて、「知的学級が望ましい」と発言していたことが判明しました。
 そして、就学指導委員会の結論も知的学級となりました。
 保護者の希望した地元K小学校には、知的学級はあるのですが、情緒の学級はありません。そのため、S市教育委員会は、県への情緒学級の新設要望をしないとしました。
 さらに、就学指導委員会直前にS学園の園長と教育委員会が事前に話をしている可能性が出ています。
12月15日頃  保護者がドクターの診断書(情緒)を学園長に提出
 事前に学園長に相談していましたが、学園長が「待ってくれ」ということで提出が遅くなったとのことです。
12月21日  S学園個人懇談
 保護者へは、「知的学級となった」こととだけが伝えられました。
 そのとき、学園長は「K小の情緒学級はできません。2年前ならよかった。県が人を減らそうとしている。」などど理由を保護者に説明しました。保護者は、納得できず、その場でもいろいろ質問したようですが、話になりませんでした。
12月28日
 保護者が学園長と話
 学園長は「知能指数が低いと情緒学級には入れない」(IQの具体的数値)とか、「県が情緒学級を少なくする方針で、きびしくなった」などど理由を保護者に説明しました。また、学園長は「第2回の就学指導委員会はない」と発言したり、今後どうしたらよいかについては、「わからん」と発言。直接委員会へ行ってもいいですかときくと「それはいい」と発言。保護者は、やはり納得できず、その後、S学園の担任の先生や仲の良い保護者などに相談をしました。
 
 K小学校へ確認すると、事前にS学園と相談したときは、情緒学級ということで、就学指導委員会でもそうなると思っていたらしく、S学園の園長が「知的学級が望ましい」と発言したことに驚いたとのことです。しかし、該当の園長の発言なのでどうしようもなかったとのことでした。
 このことは、就学指導委員会に出席していた他の人からも確認できました。
 また、保護者のK小学校への問い合わせで、校長さんからS学園園長へも連絡がいったとのことです。


2000年

1月7日  S学園長が保護者に連絡
 学園長は、「1月5日に委員会で聞いてきた。K小の知的学級もできないかもしれない。」「できなかったらどこに行きますか。」と発言。
 また、1月11日(保護者が委員会へ行く約束の前日)に、K小学校希望の保護者2人に学園へ来るように伝えました。
1月11日
 S学園長が保護者に話
 学園長は「知的学級は継続なので、新規と同じ0からのスタートなので、3月までわからない。」と説明しました。
 
 この日、S小学校希望の子どもで、情緒学級と考えていた子どもが、知的学級になっていることがわかりました。この子についても、就学指導委員会で学園長が「知的学級が望ましい」と発言し、情緒学級という話をくつがえしたことが判明しました。
1月12日  保護者が教育委員会へ
 保護者の人は、S市教育委員会へ質問とお願いに行きました。
 委員会の説明は、「これまで、情緒の学級がいい加減になっていた。今年からもとどおりの情緒の学級に戻そうとしている。」「自閉的傾向を持つ知的障害児は、情緒の学級には入らない。」と説明しました。
 この日の同じ時間に、S学園長が委員会に行っていて、「情緒の学級へ入れないか」と言いに来ていると委員会から保護者に言われました。
 最終的には、委員会は「知的を2人の方が通りやすいが、知的を1人情緒を1人でいきたいなら、あさってまでに考えてくれ」と言われました。教育委員会は、人数のこともあり、就学指導委員会前に、K小学校では知的学級だけでやっていくという方針を決めていたように思われます。
 また、保護者は、子どもの状態を考えて情緒の学級が新設されない場合は、K小の知的学級に入って、市で加配をつけてほしいと考えています。このことに関して、委員会としては、「市で加配する気はない。K小全体で見るようにお願いしている。その方が職員の理解も深まる。1対1よりはいい。」と保護者に向かって発言しています。
1月13日
 保護者がK小学校訪問
 K小学校から、子どもの状態を知りたいし、保護者と直接話がしたいと連絡があり、保護者がK小学校へ話をしに行きました。
 
 その日のうちに、保護者が教育委員会へ「最初の希望通り、情緒で」とお願いに行きました。もし、情緒学級ができなかったら、K小学校の知的学級を希望することも伝えました。委員会は「努力します」とのことでした。
1月17日  S学園長の姿勢が意味不明のままころりと変わり、S市教育委員会も保護者の意思表示で、県への新設要望することに変わったとの情報がありました。
1月 日  保護者、腰痛が悪化してしまい、寝込んでしまいました。
1月31日




 S学園保護者、教育委員会、S学園職員(一部)、H中学校教頭およびH先生による懇談会後に教育委員会課長、「就学、新設希望の県への要望は、今年は100%で出している」趣旨の発言がありました。これまで県への要望は100%はしていなかったということになります。
 また、この日、S学園から就学予定で結論の出ていない2名の保護者は、欠席のため問題点を直接指摘されることはありませんでした。
2月3日 第2回就学指導委員会
 K小希望の子どもとS小希望の子どもについて、S学園園長から情緒でという再提案がなされ、検討されました。もちろん結論も情緒でということになり、県への要望の裏付けがなされたわけです。
 また、この会の終わりにS学園教頭は、「S学園内部の話が十分できてなかった。みなさんにご迷惑をおかけしました。」と発言したとのことです。しかし、S学園内の話し合いではK小希望の子どもについて教頭自ら司会をし、『情緒で』ととりまとめていました。第1回就学指導委員会でも教頭は出席し、学園長の発言に対して一言も発言しなかったとのことです。S小希望の子どもについてS学園内で議論ができてなかったということは事実のようですが、K小希望の子どもについては大変不可思議なことが続きました。
2月23日









 S学園長が担任に連絡
 学園長は、「K小の情緒は難しい。」「情緒の根拠がない。」と発言しました。(ドクターの診断書が情緒で出ているので、学園長の勝手な判断と考えられます。)
 また、学園長は、保護者に「K小の知的か、他校の情緒か、養護学校をすすめた。」と発言しました。(保護者は、K小を希望していて、他校へ行く気はないので、これも学園長の勝手な判断と考えられます。)
 さらに、「3月3日、市教委と県教委の話がある。ここで決まる。」と発言しました。

 新設要望をしている他の小学校で、委員会から「できる見通しが立った。必要なものを購入してよい。」という意味の話があったということでした。
2月25日  保護者に委員会から「IQが上がるなら、もう一度とりなおしてほしい。」との連絡がありました。
3月6日  県からの回答があったはずですが、保護者へ連絡はないとのことです。
 K小の校長さんも聞いてくださったのですが、「議会があってまだわからない」というような意味不明の答えだったとのことです。 
3月8日







 3月定例市議会一般質問で議員質問
 「障害児の教育について 今年度いっぱいでS学園の小中が廃止され、4月からは新たな体制での障害児教育がスタートする。その受け入れ体制と基本的な考え方はどうか。」という趣旨の質問がありました。
 教育長は、「障害児学級のない学校については県に新設要望をしているが、不可能な場合は市での対応もやむを得ない。」という答弁をしました。さらに「その地域で生まれた子はその地域で教育が受けられ、障害のある人もない人も地域で生活できる社会を目指したい。」とこれまでS学園小中廃止問題で発言していた内容と同様の発言をしました。
3月10日















 S学園で教育委員会の担当、学園長、教頭、保護者ご夫婦で話し合い
 県でK小の情緒はできないこと、
 選択肢は2つで、
@K小の知的学級に入る(先生1人、途中で情緒学級に移ることはできない)
AK小の普通学級に入る(先生1人、その中でやってみてIQが上がってきたら情緒学級新設要望し、できたら情緒学級に移る)
 情緒の学級ができない場合、保護者の市で加配をつけてほしいという希望に対しては、K小はまだ知的学級があるからいい方で、県がしないところを市でやらないといけないところもあるというように言われたとのことでした。(これでは加配の意志はないと思われます。)
 さらに、教育委員会の担当者は、教育長の議会答弁に驚いたという発言をしたとのことです。
 保護者は、『情緒学級があるなら入れて、ないから入れないというのは、子どもを見ていっているのではなくて、行政上の都合で言っているのでは?』と尋ねました。担当者は困った様子だったとのことです。
 また、情緒学級ができないのは、希望の人数が1人であること(前年1人でもできている例があることは触れられていない)、IQのこと、多動ということがあればできやすいということなどが説明されたとのことです。
3月 日




 教育委員会と議員さんが話
 「K小の普通学級では現実無理かな、知的学級とすると情緒へ移ることが難しい?
 現実論として、知的学級へ入って4月当初からの加配は無理、1学期やってみて、やはり必要となれば加配も考える。」という話だったとのことです。
 しかし、このときから加配の可能性が出てきたように思われました。
3月16日

 保護者K小訪問
 学校は、「加配はつかないから学校で見なさい」というような言われ方をしているようでした。
3月17日










 教育委員会と保護者の話
 K小の知的学級かK小の普通学級かという話、加配については「とりあえず4月やってみて」という言われ方でした。『1学期』というのは長いと保護者が言うと「長いですか?」「何が困ると言われるんですか?」とのことでした。
 「幼稚園、保育園から上がってくる子どものお母さんはそんなこと言わない」という言われ方までしたとのことです。また、「先生1人でも見ることができるのではないか、1対1よりいいのではないか。」とも言われということです。
 保護者の感想は、『世間では体の障害の人にはやさしい。でも自閉の人にはどうしたらいいかわからないので・・・・。自閉症ほど説明するのが難しい子はないと専門家も言う。』とのこと、そして、『県でできないところは市ですると言いながら、4月当初からの加配はつかない。自閉の子に特別な指導が必要ということがわかってもらえない。』ともらされました。
3月 日



 議員さん教育委員会へ
 加配のできる状態はつくられているが、委員会は最初が必要という認識は低く、しばらく様子を見てと考えている点について、保護者と根本的に食い違っていることを指摘されたものと思われます。
3月27日


 K小希望の保護者2人(1人は当初から知的学級希望)が子どもさんと一緒にK小を見学
 S学園で書いてもらった文書を校長さんに見せると、委員会へ出してほしいと言われたとのことです。
3月28日







 K小希望の保護者2人(1人は当初から知的学級希望)が子どもさんと一緒に教育委員会
 2人の子どもさんの様子を見てもらうことができたとのことです。S学園で書いてもらった文書も出したとのことです。
 委員会の話は、「4月当初からの加配を準備している。必要なくなったら引き上げてもいいですか。」という話に変わっていましたが、
「いつまでも1対1では、自立のさまたげになる」という発言もされたとのことでした。保護者としては、加配希望が実現されそうであるが、やはり子どものことはわかってもらえていないと感じたそうです。
3月29日

 保護者が教育委員会に電話で「学校や保護者がもう大丈夫というまで」と加配の件をお願いすると「初めからそのつもりで言っています。」との返事でした。
3月30日

 保護者と議員さんが一緒に教育長さんへ最終確認
 保護者は『やはり議員ですね。議員さんが言うことは聞いてくれる。』との感想でした。
4月より  K小で加配スタート

資料
(質問への解答形式)
 
> 「知的学級」「情緒学級」の違いについて教えてください。
 
神奈川県立第二教育センターのHPに解説がありました。以下
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「情緒障害」とは、Emotional Disturbance の訳であり、情緒が不安定で、適切な行動がとりにくい状態を指すものです。「情緒障害」の用語は昭和36年の児童福祉法の改正に伴って登場しました。その後40年代に病院内に「情緒障害学級」が設置され、また昭和42年に文部省は、「心身障害児の実態調査」の中で自閉症も情緒障害に含めることとし、以後自閉症児も情緒障害の一つと考えられるようになりました。しかし、情緒障害とは、「人間関係のあつれき、その他心理的清緒的な葛藤を持つところの異常行動」(昭和42年中央児黄福祉審議会答中)と定義され、その意味では自閉症は、一次的な障害は脳の器質的な障害であり、二次的に情緒面の課題が表れるものとも言われ、本来的には情緒障害の枠で捉えるべきものではありません。しかし教育は、このような考え方ではなく、原因はともかく、表れている現象が情緒的な問題であるなら、すべて含めて情緒障害の枠内で捉えようという考え方をとっています。そこで、最近の情緒障害は、大きく二つに分けて考えられています。一つは自閉のように、人とのかかわりに困難を示し、全体的な発達にひずみのある状態にあることを言い、もう一つは緘黙や神経症のように親子関係や、友人関係などまわりの影響で情緒の混乱や社会的不適応を起こすことを言います。
 また、文部省の情緒障害児の分類としては、 @登校拒否 A緘黙 B神経症 C自閉症 D精神病 E脳の器質的障害  があります。
 これらの情緒障害児は、養護学校や小、中学校の特殊学級等で指導を受けていますが、指導の原則として、
 @子どもの問題行動の背景や原因を探ること
 Aそのために専門機関との連携をはかること
 B子どもの心理的な圧迫を取り除き、安定した情緒が得られるように受容的に接すること、
 などが考えられます。
 現在は子どもたちをとりまく環境(家庭、学校、地域、社会)の大きな変化や価値観の多様化、人間関係の希薄さなどにより、子どもたちが多くのストレスを受けている時代であり、そのために様々な心理的な不適応が起こっています。教師には子どもの行動の現象面にのみとらわれず、その背景を探り当てる視点と、子どもを受容する態度が求められています。
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カメ吉解説
 
 情緒学級は、障害種別の多様化に対応しきれなくなった知的学級を保護者の要望を受ける形で知的学級と情緒学級の2つに分けてつくられたと聞いています。
ある意味では、1つの学校に2つの障害児学級(先生2人)をつくることができるようになったとも言えます。
 
 情緒学級で最近話題になっているのは、自閉傾向・多動傾向の子どもたちです。
自閉傾向と言われている子どもたちは、認知面での脳の障害を持つと考えられ、行動面でも特徴的な傾向があると言われています。
 ところが、「情緒障害とは、『人間関係のあつれき、その他心理的清緒的な葛藤を持つところの異常行動』(昭和42年中央児黄福祉審議会答中)と定義され」・・・・
ということから、「情緒学級」が、不登校の子どものための学級であるかのような誤解を招きそうだったり、自閉症の子どもが、そのことばから、心理的問題や親の育て方の問題であるかのような誤解を招いた時代もありました。当時は、保護者も「自分の責任」と悩んだこともあったと聞きます。
 しかし、そちらの専門医療が進み、脳の器質的なことが明らかになり、誤解も解かれました。
 
 そして、自閉症と言われる子どもには、それなりの対応が必要と言われています。
アメリカでTEACCHという指導方法が、確立され成果を上げていると言います。日本でも本格的に取り組んでいるところもあるそうですが、養護学校や施設でと聞きます。学校であまり聞かないのは、障害児学級などでは、施設的に難しい面があるからだと思います。参考にしているところはあると思いますが・・・・。
 
 本屋で立ち読みをしてみると、障害児教育の基礎用語の「情緒障害」定義が、昭和42年のまんまだったりして、しかも「情緒学級に自閉症児を入れたために混乱を招き、今だその範疇に入れるべきか・・・」などという本もありました。
文部省もその後、明快な文章を出してないのではないのかと思われますが・・・・
今、手元によい資料がないので定かではありません・・・・。
 

> なぜ「情緒学級」希望なのですか?
 
この質問に関しては、プライベートな問題に触れることになるので、あまり詳しく触れられませんが、保護者が、子どもさんの状態を考えて(IQなどとは別問題で)そこが適していると判断されたから、また、それなりの対応を必要と考えられたからと思います。
 


要望理由
 1 保護者が希望している
 2 園内の議論も同じ
 3  専門のドクターの診断「情緒」 (保護者もきっちり理解している)
 4 新設されなければ、保護者として加配を要望するというほど・・・


 
 
 関係の方によれば、「うちの県は、全国から10年遅れ、S市はさらにその10年遅れ」と言われます。
きちんとした考えや対応に基づいて、ノーマライゼーション・インクルージョンが進められてゆけばよいのですが、S市は、何もない上にそれをやると言っています。
就学の問題が起こることだけ考えても、おかしいと思いますが・・・・。
昨年、S市は、ことばでは「どんな子どもも地域の学校で受け入れる」と言いながら、障害が重いと言われる子どもは「養護学校へ」とも平気で言います。
他県では、重いと言われる子どもたちは、どのように生活しているのか知りたいです。
基本的には、子どもや保護者の希望により選択できるということが原則だと思いますが・・・・。
 
 学校では、障害児学級に入級した子どもたちも元学級に所属し、障害児学級での授業と元学級での授業との比を7:3とするとしていたと思います。実際には、ある程度柔軟にやっていると思いますが、教育委員会は原則をよく言います。
 就学については、現実には、保護者の希望により子どもたちの受け入れが行われているにもかかわらず、教育委員会は「適正な就学指導」の名の下で、就学指導委員会の決定を振りかざす傾向があります。
 厚生省サイドでは、実態に即して柔軟に対応しようという傾向が見られますが、文部省サイドでは、法の範囲を一歩も出ない対応を目指しているように思います。
 
 
  
 
 
S学園長
 
 1998年11月 保護者の要望書書換、印鑑不正使用
 
  1999年3月  言語聴覚士解雇問題
 
     4月〜 言語訓練停止方向へ
 
     5月  教頭問題発言(学園長の考え)
 
     6月  保護者懇談会で職員に発言させない、回答もすべて「検討中」
 
      3〜9月 小・中学部が今年度廃止されることを保護者に伝えない
 
        10月 ある医院の先生が学園訪問 「入れてくれないという噂がある」と質問
         (園児が30人(定員)に達してないとき、希望者を断ったことがある)
 
        10月  言語聴覚士解雇問題再発および言語訓練停止
 
    12月〜 就学指導委員会での発言
 
              (職員に対する問題発言)