sorry,Japanese only
平成19年3月31日
第107号
NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会
107号 目次
桜の花びらが・・
平成19年度総会案内
講演会 「自閉症児を就労へ導く子育て」 ご案内
それいゆ 「TEACCH 2デイセミナー」 レポート
川崎医療福祉大学 「TEACCHモデル実践報告会」 レポート
勉強会 「NTNワークショップ 夢工房」見学会 報告
支援者養成講座 報告&19年度 ご案内
AAO ・ サッカークラブ ・ 水泳教室 お知らせ
私のお薦め本コーナー
『 モーツァルト と クジラ 』
近隣の講演会等のご案内
卒業論文 「自閉性障害児・者の就労について」〈要約)
お父さんコラム
『 小学校1年生を振り返って 』
事務局だより
桜の花びらが昨日の朝、一輪咲きました。
外出先から帰ると二輪になっていました。
そして今朝起きて見ると、数え切れない花びらが春の日差しに輝いて見えました。
やっぱり桜が好き!桜の花が咲くとなぜかうきうきしてしまいます。どうしてなのでしょうね。梅は「ああ、咲いたね」って感じなのに、桜は「やったー!」「春がきたー!」って思います。どうしてか分からないけど、気持ちが浮き立って、嬉しくなります。
日本人は桜が好きです。絢爛と咲き誇り、そして一気に散る潔さ。この潔さが人気の秘密かも・・・なんて思ったりします。ぐずぐず・じめじめ・ねちねちが多い自分の人生に比べ、パァーッと咲いて短い命を生きる桜。私たちはそんな人生に憧れているのかもしれません。
でもね、自閉症児を育てる私たちは、「パァーッと散る」訳にもいきませんね。
人生コツコツ積み上げて、できるだけ子どもに良い環境をと日々努力の毎日を送っていくしかありません。
さぁ、気を取り直して春に浮かれていないで、しっかり新学期の準備を始めましょう。
今回の会報に「りょうパパさん」からの投稿があります。クラスメイトへ向けて、お子さんの障害のお話をされた時の文章を掲載していますので、皆さんも参考になさってください。
哲平が一年生に入った時、周りの子どもたちから「おばちゃん、哲ちゃんはどうして話をせんの?」とか「どうしておばちゃんがついて来とんの?」とか、純真な目で不思議そうに聞かれたものでした。私は当時、学校へ付き添って、一緒に教室にも入れていただいておりました。子どもたちがこんな風に聞いてきたら、その場で「哲ちゃんは、小さい頃病気になって、お話が上手にできんのよ。でも一生懸命頑張ってお話ができるように、たんぽぽ学級で勉強しよるんよ。みんなも教えてやってね」と言ったものでした。「分かった。私が教えてあげる!」と可愛いおしゃまな女の子たちは言ってくれました。また、男の子たちは「俺は哲ちゃんの味方じゃからな!」「哲ちゃんを守るんじゃ!」と言ってくれました。
一年生の一学期を哲平と一緒に通ったおかげで、子どもたちに哲平との付き合い方などを伝えることができて、良かったと思っています。
さて、当時まだまだ大変な小学1年生だった哲平も、現在19歳。
NTNワークショップ夢工房岡山 に就職して、一年が過ぎました。無事にこの日を迎えることができて、これほど嬉しいことはありません。
一周年の記念式にも夫婦で招待していただいて、参加してきました。会社の皆様の暖かなご支援のおかげです。自閉症という障害を持ち、しかも結構重度な哲平がお勤めさせていただいて一年を迎えられたというのは、奇跡です。
会社はこれからも少しずつ人を増やしていかれる予定だそうです。
哲平入社の時の会社の採用条件は、ただ一つ。
ハローワークの条件欄に「一人で通勤できること」とありました。そのことを育てる会のお母さんたちに話をすると、俄然「一人で通学できるようにしたい」と、スクールバスに乗らないで養護学校へ通おうとする人が増えています。学校への行き帰りは色んなことがあります。その中から学ぶことがたくさんあります。どれだけ経験を積んだか、そしてそれをどう乗り越えてきたかが人生の豊かさにつながっていくと私は信じています。
春休みです。新たに新入生となる子どものお母さんたちの子どもたちの通学練習を見ながら「がんばれ〜」と心の中で応援する私です。
さて話は変わって、先日、明石洋子さんが岡山へ来られた折、NTNで働く哲平を見ていただきたくて、会社の了解を得た上でご案内させていただきました。
明石さんには養護学校時代に、「哲平くんならきっと働けますよ」と励ましていただいたことがありました。その一言にはどれほど勇気をいただいたかしれません。私は単純ですから「よーし!がんばろう!!」と強く思ったものでした。
「鳥羽さん本当に良かったね」「とてもよい職場で、皆さん暖かな方ばかりですね」と働く哲平の様子を見ながら、我がことのように喜んでくださいました。また、哲平の支援員の方へもアドバイスいただいて心強いことでした。明石さんはいつお会いしても若々しくて、内側から活力やエネルギーがあふれ出ているような方です。
10月には「きょうだい児の育て方」を中心に育てる会として三度目の明石さんの講演会をお願いしようと思っています。
詳しい日程はまた10月が近付きましたらご案内いたします。
19年度講演会については、第1回として、今回会報と一緒にご案内しております愛媛大学教育学部の上岡一世先生の「自閉症児を就労へ導く子育て」と題してお話をいただきます。
実は、私は昔、先生の書かれた「こうすれば伸びる自閉症児の指導法」や「就労自立を果たす指導法」「家庭との連携で就労=自立を実現する教育」などの先生の本を愛読しておりました。その長年思い続けていた上岡先生に岡山へお越しいただけることになりました。3歳の頃に先生の本を読ませていただき、はじめて「よーし、将来は働く大人にしてみせるぞ!!」と大きな大きな夢を描いたものでした。本に出会うのも、必要な時に必要な情報がピッタリとタイミングを合わせるように目の前に用意されてきたように思います。
「これを知りたかったのです。神様ありがとうございます」と言いたい瞬間です。
ところで、少し大きくなった子どもの親御さんは、講演会へは足が遠のきがちのようです。その理由を聞くと「私が勉強したからといって自閉症がよくなる訳じゃないから」とか「自閉症の話はもう何度も聞いたし・・・」と言われます。
でもちょっとそれは違うのではないでしょうか?
私たちは大切なこと・知っておくべきことを、年月と共に忘れていきます。
例えば「子どもの身になって考えよう」ということは知っていても、いつの間にか母としての希望や想いで、子どもを動かそうとしてしまいます。思うようにならない子どもにイライラしたりもします。でも子どもを中心に子どもの視点でものを考えるということを、何度も何度も講演会で聞いて、その都度私はそれを忘れていることに気付くのです。「私の想い」を中心にしていた自分に気付くのです。自閉症の特性に配慮した、子どもの身になっての支援ができていない自分に講演会の度に気付かされます。
最近、私は年のせいか、学んでも学んでも、聞いたことを忘れてしまいます。私の脳みそは若いときのように、打てば響くような反応のよさはなくなっています。でも経験に照らして考えるという意味では、年々、より深く読書や講演会が私にとって意味あるものになっているように思います。
長くなりましたが、つまりは、上岡先生の講演会にはぜひいらしていただきたいということです。
ご案内が年度変わりの時期と重なりました。GW連休の最後の日曜日でお忙しいことと思います。
けれど、保護者として、今聞いておくべきこと、知っておいて良かったと思える講演会になることと思います。
私は上岡先生のご本に出会ったからこそ、息子が3歳から就労自立へ向けて、本に書いてあったことをコツコツ取り組みました。そして19歳になった今、哲平は理解ある会社に恵まれて、就労を果たすことが叶いました。
運が良かったのは事実ですが、それだけでは就労は叶わなかったと思うのです。将来を見通して願い続けることの大切さ、ゆっくりでも足を止めず、たゆまぬ努力の大切さを、この機会に上岡先生の講演会から学んでいただけたらと思います。
また、学校教育の果たす役割は非常に大きいため、教師への専門性を踏まえた支援法や対応策を具体的に講演の中でもお話しいただけるものと思います。この機会に学校関係者の方も多数参加いただき、家庭と学校が連携して自閉症の子ども達の就労へ向けての教育が行われることを期待しています。
いよいよ育てる会でも新年度が始まります。
今月号には正会員のみなさまには、会の運営に対するご意見をお聴きするアンケートを同封しています。どうぞ、お早目に返送いただきますようよろしくお願いいたします。
私たちの会は自閉症の子をもつ親の会です。子どもたちが一人ひとり幸せに暮らせるために何をすればよいか、それだけを考えて会を運営しています。
今年度も子どもたちのために力を合わせてがんばっていきましょう。
追伸
アートリンク・プロジェクトが、岡山市天神山文化プラザで行われます。
哲平もパートナーの佐藤朋子さんと参加していて作品も数多く出展しています。
とっても素敵な作品が160枚ほど仕上がりました。どうぞ見にいらしてください。
会期:4月17日(火)〜22日(日)9:00〜18:00
詳しくは、事務局までお問合せください。
育てる会 代表 鳥羽 美千子
それいゆ「TEACCH2デイセミナー」レポート
2月17〜18日、佐賀県のNPO法人それいゆの「TEACCH2デイセミナー」に参加してきました。今回も素晴らしい内容でした。特に「連携」の大切さを学びました。人は違いに目を向けがちだけど、同じところ、協力できる部分に目を向け、力をあわせる必要を感じた。私たちも学校や地域や他の会としっかり連携していきたいと思いました。講義6つ(メジボブ教授)、実践報告3つ行われました。そこで学んだことを少し紹介したいと思います。
★TEACCHで大切にしている価値観(コアバリュー)
「自閉症を理解する」・・・自閉症の文化を理解して、彼らを尊重する。
「サービスの卓越さを確保する」・・・常に勤勉に努力し、挑戦して仕事するという気持ち。
「必要なことをするべきことをする」・・・どこにニーズがあるかを見つけだし、皆でその方向に歩いていく
「親と専門職の協力と連携」・・・親と専門職に限らず、様々な機関との連携と協力が必要。
「この世界を自閉症の人たちにとってより良い世界へ」 など
★ペアレントメンター
保護者が保護者を支援するプログラム(1996.3〜)
告知間もない状況で、感情面で話を聞く。地域の情報提供。自閉症に関する情報の提供。
メンターと家族のマッチングがうまくいくと効果的。(両者の状況や地域が同じ方が理想)
効果としては、意見交換や支援ネットワークの確立。メンター自身も自閉症の知識や地域の情報を学べる。支援技術の確立ができた。「人の役に立てた!」という喜びが持てている。
川福「TEACCHモデル実践報告会」レポート
3月3日〜4日、川崎医療福祉大学TEACCHモデル実践報告会に参加しました。
2日間全12の全国各地のTEACCHに関わっている方からの報告がありました。どのお話も興味深く、全国の実践を聞きながら「私たちももっと頑張りたい」と強く思いました。その中の一部を紹介させていただきます。
★堺市立御池台小学校(大阪)浅井郁子先生 「小学校 特殊学級での実践」
その人らしさを発揮できる教育・統合教育を目指して
「ひとりでしよう、ひとりでできる。みんなとしよう、楽しくできる」
本人の持つ力を生かしながら、できることをする。その中で統合教育に活かせるアイディアを見つけていく。
合奏・・・ピアノが弾ける→弾かないときの手の位置を明示
掃除・・・1〜100の数列理解→靴箱掃除を端からできる
運動会・・・模倣ができる→立つ位置はリングで明示
★HDAアプローチセンター(徳島)富永久美子さん 「親のピアトレーニング」
専門家→家族への支援をしてきた中、親→親への支援が始まった。
学習会(障害についての正しい理解、家庭で役立つ教材作り、家庭における構造化、兄弟対象の学習会など)、情報交換(家庭における実践、地域資源情報)、子育て相談、訪問活動、レスパイトケアなど
地域との連携を保つ中で、コーヒーショップ→レストラン→お弁当屋さんと広がってきた。
★朝日新聞厚生文化事業団(東京)福田年之氏 「余暇支援」
自閉症の子どもたちとキャンプをしよう!
質の高い野外活動、レクリエーションの体験、普段接することの少ない人との関わり、レスパイトケア、正しい理解者を増やす。
自閉症の人たちの学習スタイルに配慮したキャンプを大切にしている。
学生スタッフも1年かけて養成し、ここでボランティアをした方が、将来福祉現場で働いていく。
★オフィスウィング(神奈川)佐藤賢治氏 「高機能自閉症者の地域作業所」
発達障害者支援センターへ相談に来る人の中で、高機能自閉症の方が増えている。
仕事上、対人関係でうまくいかなかった方が多い。また引きこもり、ストレス高などになっている。得意な分野があるのに生かせないことから、作業所を作っていくことになった。
「作業所」ではなく「会社」。生活の安定・仕事の提供・居場所の提供を目指して活動している。
(事務局:鳥羽紗代)
勉強会の報告
先日3月14日(水)、「NTNワークショップ夢工房」のご好意で、第二回の見学会が育てる会正会員・賛助会員の方対象で開催されました。
参加者からの感想をご紹介します。
全てにおいてとても感動しました!
まず、職場全体がシンプルに整理されていて、居心地が良いなあと感じました。そして、至るところに視覚支援がしてあり、一つ一つ傍について指示をしなくても自分で見て確認して働けるような支援がしてあり素晴らしかったです。また、作業効率や品質を維持できるためだけではなく、本人達が作業をしていく中で身体に負担がないようにと試行錯誤をして考えられた冶具や作業台や椅子など本当に素晴らしかったです。
「これでいいだろう」とそこで終わってしまうのではなくて、日々様子を見ながら色んな工夫をしてステップアップを目指してサポートの方法を考えられていることも、すごいことだなあと思いました。
哲平君たちをサポートして下さっている職員の方々の人としての温かさをとても感じました。見学させていただいた後、わざわざ私達と一緒に昼食を摂る時間を作って下さったり、仕事以外の時間にも哲平君たちと関わって下さっていたりと、人と人との関わりをとても大事にされている職場だなあと感じました。その皆さんの人柄が職場全体の穏やかな雰囲気を作っているのだなあと感じました。
また哲平君たちとの接し方を見て、「障害者だから」という目で見ているのではなく、一人の人間として尊重して下さっている様子も感じました。
また、お母さんが哲平君を家庭でしっかりと育ててこられていて、その人としての基礎が出来ているからこそ、ひたむきに仕事が出来て、職場の皆さんの気持ちを動かすことができているのだろうなあと感じました。名前の通り、本当に夢のような職場でした。
見学させていただいて、たくさんの希望や勇気をもらいました。そして、将来のことを見据えて家庭でしっかり育てていかなければ!と改めて思えるきっかけになりました。ありがとうございました。 (りょうくんママ)
見学の機会を与えてくださりありがとうございました。
子どもは5才。どんな大人になってもらいたいかとの問いに、漠然と「働く人がいいな」とのみ思い、将来に対して希望を持つことがなかなかできずにいる毎日を送っている中、「このような形もあるのか」と思った見学会になりました。
サポートの方から、就労のためには、通勤・着替え・排泄・食事・一生懸命さ・・・、様々な要素の必要性をうかがい、では、我が子をどのように導いていったらよいのか、本気で考えなければならないとの思いを強くしました。親としてまず私が育つ必要があることを改めて感じました。働く鳥羽哲平さんの姿を見て、不思議に思っていたことが解決されたような気がしています。
前回の会報に、NTNでは素晴らしい支援をしているとの報告がありました。では、NTNの方々はどうして一生懸命なのか?それは鳥羽さんがマジメで一生懸命だからですね。鳥羽さんは愛されているのですね。NTNの皆さんが鳥羽さんのことを分かりたいと思っておられることが伝わってきました。皆さんが穏やかな表情をしておられたことがとても印象的でした。今日は特別に貴重な日となりました。ありがとうございました。 (O)
NTNワークショップ夢工房の見学の前に、T部長さんから「主役で働けている職場になっているか?主役で働いているか?どうぞ見てください」と言われました。
I サポート員の「どうすればスムーズにラクにできるか観察をしています」というお話は、自閉症の人たちにとって一番必要な理解の部分を自然にしてくださっているということがとてもよく感じられました。T部長さんが「鳥羽くんのお母さんとの交換ノートで情報を交換して修正しています。気付けば良かった、気付けなかったと、毎日が勉強です」そして「楽しいです」と言われていたお話がとても私の心に残りました。
そしてS所長さんの「ひたむきに仕事をしている姿に感動します」という認めてくださっている暖かいお言葉。「自閉症の人たちは、家族をはじめ、学校や職場で良い理解者に恵まれなければ決して良い発達や適応をしていくことはできません。適応へ良き理解者が必要」といわれている通り、哲平くんは何よりも家族、そして職場によき理解者に恵まれ、いきいきと誇りを持って働いておられました。
まさに、T部長さんが言われた主役でした。
夢工房の見学を終えて、私はやや泣き顔(感動して)で、我が家に帰りました。我が子もこんな社会人になってほしいという目標を密かに心の中で思い描きました。夢工房の名前通り、T部長さん・ I さんの思い描かれている暖かい「夢」がもっともっと実現していかれますことを心より願っています。NTNの皆様方、鳥羽代表、心暖まる見学会をありがとうございました。 (N)
支援者養成講座報告&19年度募集案内
今年度全10回で開催した重松孝治先生の「教職員のための即実践講座」、最終回の3月10日(土)は、「教え方の技術」というテーマで、これまでの講座で学んだことを振り返りながら、原点へと立ち返る講座となりました。
自閉症支援の前提は「自閉症の『文化』を理解する」こと、そして、彼らの学び方・注意の向け方・コミュニケーション・行動などの違い、整理統合・他者との関わり・般化の困難さ、特異的な感覚処理などを理解し、その上でどのような支援が必要かを考えなくてはいけないとお話されました。
全10回の講座を終えて、参加者は一様に「子どもへの支援を真剣に考えるようになった」「これまでは悩んでばかりで前に進めなかったけど、この講座のおかげで色々な引き出しができた」「演習は緊張したけど、その分他の参加者の意見も聞けて勉強になった」ととても前向きな意見が多数出されました。
来年度もお引き受けくださることになったので、また日程などを調整したいと思います。
参加した方々からの感想が寄せられておりますので紹介します。
自閉症について理解が進んだと思います。教えていただいたことを担当している子にすぐ返せる環境にあったので、すごく幸せでした。また、特性にかえって考えることの大切さを学びました。具体的な支援の方法について聞くだけでなく、一緒に考えることができてとても勉強になりました。
自閉症のお子さんの担任は初めてで、どう関わっていこうかと思っていた中、この講座で基本的な講義だけでなく、現場でどう関わっていけばよいかということを考えていくことができました。視覚的に構造化するということは知っていても、それはその子にとっては合っているか、どう理解しているかを再確認しながら現場で子ども達に関わる姿勢を持つことができたように思います。
構造化は、一人一人に合わせることが基本となると、支援者のアイディアにかかるところが大きいと思います。そのアイディアは、支援者がたくさん「引き出し」を持っていると良いものが生まれます。今回の講座では、実践例が重松先生から紹介され、引き出しを増やすことに役立ちました。また、引き出しを整理するのに「自閉症の特性」から考えることで、スッキリしました。
単なる講座だけでなく、演習が多くあったことで、即職場の研修会を開く際の研修の持ち方(内容)が広がりました。勿論教室の中でも実際に多く使えました。何となくこうだよねではなく、評価すること(本人を正しく見ること)から、支援が始まるということが身に染みました。
今まで自閉症の子どもたちと接してきましたが、重松先生のお話を聞いて、サポートしているつもりでもまだ足りなかった・勉強不足だったなぁと思いました。「即」実践講座というだけあって、本当に「即」翌日から役立つ内容が多く、私自身の「自閉症」の方への理解も少し深まったと思います。理屈として分かっていても、実際納得できなかったこと、分からなかったこと、悩んだことがこの講座でスッキリ晴れたことも幾度となくありました。
重松先生、一年間本当にありがとうございました。とてもよく学べた一年になりました。これからももっともっと勉強し、目の前にいる自閉症の子が少しでも安心して暮らせるところを作っていきたいと思います。またよろしくお願いします。
重松先生、一年間具体性を持って詳しく教えてくださり、ありがとうございました。学んだことのどれだけ実践できているか、悩みは多いです。子どもたちの自立へ向けての支援を心にとめていきたいです。育てる会の皆様、色々企画してくださり、勉強の場をありがとうございます。
来年も連続講座があるとお聞きし、嬉しく思います。重松先生よろしくお願いします。
TEACCHや自閉症に関する研修は最近数多いですが、これだけ体系的・系統的に学べる場はなかなかないと思います。育てる会でこのように計画してくださって大変感謝します。
1年間10回の講座、本当にありがとうございました。分かっているつもりでいたのに、先生の講座を受講して、本当の意味で理解して実践できていなかったんだなと反省しました。でも、一年間勉強したので、以前より特性を理解した上での支援ができるようになった気がします。
19年度も、重松孝治先生に「自閉症児への支援:実践編」を講義と演習のセットでお願いしています。即!実践につなげることのできる先生対象の講座です。
日 時 : 毎月金曜もしくは土曜日の夜19:00〜21:00
(4・8月を除く全10回)
第一回は平成19年5月11日(金)19:00〜21:00
会場はきらめきプラザ研修室 です。
場 所 : きらめきプラザ(岡山市南方)・岡山ふれあいセンター(岡山市桑野) など
対 象 : 学校教職員・保育士やそれを志す人対象。ただし施設・福祉関係職員も可。
(申し訳ありませんが、保護者対象ではありません)
参加費 : 16,000円(一括)
※育てる会賛助会員限定(当日入会も可)
申込先 : 育てる会事務局(086-955-6758)
昨年度参加された方でも参加していただけます。
毎回演習と講義がギッシリで、即実践力作りに最適です。
どうぞお知り合いの方や担任の先生などへのご紹介をよろしくお願いいたします。
AAOのお知らせ
桜の花も咲き始めましたが、お花見には皆さんもう行かれましたか?
去る2月25日(日)、ホテルサンルート岡山にて、AAOのありがとう集会を開催しました。
一年間お世話になったボランティアさんと一緒に皆初めてのコース料理に挑みました。ホテルの従業員さんも暖かく見守ってくださり、おいしい料理を堪能することができました。そして、各テーブルでは一年間の思い出話が弾みました。
お母さんとボランティアさんからの感想もいただきましたので、ご覧ください。
今年度、中学生になるのを機にこの活動をはじめました。小学校高学年になってもなかなか親から離れられない息子に(私たちが子どもから離れられない親なのかもしれませんが・・・)どうにかしなければと思っていたところだったので思い切ってはじめてみました。
私は子どもにははっきり「AAO活動」と名前までは伝えていなかったと思います。ところが、初めての活動日の後には「AAO おにいさん おねえさん」とVOCAにうってカレンダーを指差して、次回の予定を入れてほしいと催促してきたことが忘れられません。(^o^)
学生さんが2人ともAAO活動がはじめてだったこともあり、お互いに試行錯誤しながらゆっくり活動を進めていくことができ、スローペースの息子にはちょうどよかったようです。おふたりともとっても熱心でやさしくて、息子も会える日をいつも楽しみにしていました。親の気がつかないこと(我が家の勝手なルール)を改めて気づかせてもらえたように思います。ありがとうございました。m(_ _)m
今年度は本当に小さな一歩でしたが、親ではない人と時間を過ごし、それを楽しむことができるという充実した日々が過ごせたことに幸せを感じます。次年度はさらにもう一歩すすめたらなあと願っています。 (S)
このAAOの活動でとてもいいなと感じたことは、他のボランティアと違って、同じ子どもと一年間一緒に接することだと思います。一年間を通すことで、子どもの成長を見られたり、自分の行動の見直して次に生かすこともできます。AAOを続けることで、今まで見えていなかったことなど見つけられるかもしれないし、子どもと一緒に過ごすのは楽しいことなので、これからも続けていきたいと思います。(荒蒔伸治)
私はAAO活動をして二年目となるのですが、一年目は自閉症について全く知識のないまま不安もありつつ活動していました。
私達はボーリング活動を続けているのですが、日に日に博君が成長していく姿を見てこれが成長って言うんだな〜と実感しました。初めての時は知らないお姉さん達とのボーリングで戸惑いもあったかな?博君がボーリングの球を持って投げようとしてくれた光景、本当に喜びでした。まだまだ未熟な私達ですが、もっと博君を知ってAAO活動を続けていきたいです。とても
貴重な経験をさせてもらってAAO活動は素晴らしいです!!(本城美沙子)
皆さん、一年間ありがとうございました。
さて、4月になりましたので、新しくAAOに参加してくださる子どもさんとボランティアさんを募集しています。やってみたいと思われる方は、育てる会事務局までご連絡ください。(正会員 限定)
(AAO担当:H.T)
大学の卒論で、自閉症児の就労自立について取り上げられた学生さんから卒論が届けられましたのでご紹介します。
自閉性障害児・者の就労について
〜事業主と保護者の方の聞き取り調査を通して〜(要約版)
小合 由香里
T序論
自閉性障害者の就労率は、自閉の生徒の就労研究会(1996)によると、1995年に実施した調査では21.3%と報告されている。このように、自閉性障害児・者の就労は企業側の理解のなさや障害独自の特性などの理由で厳しい状態が続いている。一般企業への就労にまでこぎつけている方は少なく、授産施設や作業所に行く方々が大半を占めているのが現状なのである。
本研究では、自閉性障害児・者を雇用している事業主とその保護者の方の聞き取り調査から、自閉性障害児・者が就職を継続している要因や家庭・仕事場で変容したことなどについて考察していく。
U 方法
1)調査対象:O県内で自閉性障害児・者を雇用している企業とその保護者、各6名
2)調査期間:2006年7月中旬〜9月初旬
3)調査方法:各企業には、本人がお世話になっている方に筆者が直接伺い、保護者(母親)の方々には、保護者の方が言われた場所(喫茶店など)で質問紙を基に聞き取り調査を行った。
4)調査内容:調査項目は、事業主へは(1)自閉性障害の認知度(2)自閉性障害の雇用経験について(3)本人の基本属性(4)就労者の実態(5)職場適応能力の発達的変容(6)不適切行動(7)対人関係(8)その他の8項目で、全29問である。
保護者へは(1)仕事について(2)金銭の管理や使い方について(3)家庭生活能力の発達的変容(4)その他の4項目で、全23問から成り立っている。回答形式は自由論述である。
V 結果及び考察
1) 事業主の方への調査結果と考察
(1)自閉性障害の認知度 (2)自閉性障害の雇用経験について
自閉性障害という障害は、全員知っていた。これは養護学校の先生方が事業主の方々に自閉性障害について説明を行ったり、また最近自閉性障害に関するドラマなどが放送されたことによって、関心を持つ人が増えたことも影響していると思われる。自閉性障害児・者の雇用は、全ての会社で雇用した経験があり、障害のある方を理解しようと努めていることが分かる。
(3)本人の基本属性(4)就労者の実態
性別 | 勤務年数 | 会社の概要 | 本人の職種 | |
A | 男性 | 1年目 | ベアリングの製造 | 箱のビニール掛け、バーコード貼り |
B | 女性 | 1年目 | お菓子の製造・販売 | お菓子の選別・検品作業 |
C | 男性 | 2年目 | 事務代行事業など | 従業員寮の清掃 |
D | 男性 | 2年目 | 事務代行事業など | 従業員寮の清掃 |
E | 男性 | 2年目 | お米の炊飯・加工会社 お寿司などの製造・販売 | カゴの洗浄作業、出来上がった商品を金属探知機に通す作業 |
F | 男性 | 2年目 | 飲食業・掃除業 | 調理補助(野菜などの下処理など) |
今回の調査では、男性が多く、勤務年数も1〜2年目で少ないことが分かった。
職種はトレイの袋掛けやお菓子の検品作業、清掃などそれぞれ異なる職種であるが、移動を伴ったり、指示を受けて作業をしている方は少なく、決められた場所で一定の仕事に従事しているように思われる。
給料は7万円前後と11万円前後に別れ、依然として障害のある方々の給料は低いが、これは本人の能力や仕事内容によって異なってくると思われる。正当な給料は当事者以外には分かりにくいが、少なくとも仕事量に見合った給料は出すべきである。今後給料については検討していくべき課題であろう。
(5)職場適応能力の発達的変容
作業量を求めている会社は、作業量は全て上昇していた。中には、入社当時より作業量が倍以上になり、業務内容のレベルが高くなり高度な仕事についているという方もおり、発達的変容が顕著で仕事が本人に適合していることが分かる。会社や親の努力、仕事の分かりやすさが本人の適応能力を向上させている要因の一つと考えられる。今後も職場の方たちの支えや配慮などによって仕事量や仕事内容の増加の期待は大いにできる例もある。
(6)不適切行動
不適切行動がないと報告した会社もあったが、こだわりが強い、自分の思っていることと違うことがあると怒るなどの不適切行動が起こっていると報告した会社もあった。
しかし、事業主の方々は本人がそのような行動を起こしたとしても、彼らを理解し、仕事に従事させていることが分かった。企業側が理解ある行動・対応をすることによって、仕事への適応力が高まり、問題行動を軽減する効果も認められる。
(7)対人関係
周囲の方々との関係は、職場の方が声を掛け合うなどの配慮や気遣いをしていることもあり、うまくいっていることが明らかとなった。
他の人々のさりげない配慮が、本人の日常生活や仕事面を豊かなものとさせていっているのではないだろうか。
(8)その他
・就労継続維持について
仕事を続けてこれた理由として、本人・保護者の就労に対する熱意、養護学校の先生方の協力があげられた。就労を継続していくために、会社‐教師‐親・本人の結び付きをしっかりしていく必要がある。親は職場を信頼し、職場はそれに答えて、本人が活躍できる場を提供するといった信頼関係が重要であるといえよう。
2)保護者の方への調査結果と考察
(1)仕事について
就職してから給料がもらえる喜びなどもあるということで、本人は楽しんで仕事をしていると思っている保護者が多いことが分かった。この気持ちは、就労継続要因につながっていくと考えられる。
(2)金銭の管理や使い方について
保護者の方がいただいた給料のほとんどを貯金しており、その一部を本人が自由に使えるお金としている方が多い。自分が自由に使えるお金で本人は、本やCDやDVDを買うなどしていることが明らかとなった。
貯金は親が管理している。
(3)家庭生活の発達的変容
就職してから自分から一人で外出する、行動範囲が広がるなどの変化や、仕事をすることで語彙が増え、コミュニケーションが豊かになり、自分から質問するようになったなどの発達的変容が見られた。就労してから他の人々との接触が増えたことなどが影響していると考えられる。
(4)その他
・将来に対しての心配事
親亡き後や今の会社を続けていくことができるのかという不安を持っている方がほとんどであった。社会や地域で責任を持つ支援や制度ができない限り、親の不安はなくならないであろう。
W 結論
今回の調査で、就職することができた方々は仕事量や日常生活などで様々な発達的変容が見られ、仕事も適合していることが分かった。
その要因として、職場の理解や職場選択のよさ、親・本人・企業・教師の努力が考えられる。特に、職場の理解や親・企業・教師の努力が本人の仕事適応力を上げ、また就労継続要因にもつながっていることが本調査を通し明らかとなった。
お父さんコラム
「小学校1年生を振り返って」
早いもので、息子が小学校へ入学してもうすぐ一年が経とうとしています。
色々なことがありましたが、この一年は息子にとって飛躍の年であったと思われます。
幼稚園の時に比べると、環境や生活のリズムが大きく変化したにも係わらず、自閉症とは思えない程の順応性をみせて、そしてたくましく成長してくれました。言葉のバリエーションも増え、わたしたちも息子との会話を楽しめるようになりました。ひらがなやカタカナや漢字も覚え、読み書きもしっかりしてきました。息子は、小学校がとても楽しいらしく毎日張り切って通ってくれています。これも、息子の障害をよく理解して係わってくださる学校の先生やお友達のおかげだと思って感謝しています。
息子は、地域の小学校の情緒障害児学級へ通っています。
障害児学級でほとんどの時間を過ごしますが、音楽と体育、そして週に何度かの給食の時間は、交流学級で過ごしています。
交流学級の先生は、息子にとても優しく接してくださっており、息子にとってもお気に入りの先生のようです。
クラスのほとんどのお友達は、一年たった今、息子を仲間として受け入れてくれているようです。
先日、その交流学級のお友達に息子の障害について話をする機会を得ました。かねてから、校長先生をはじめ先生方に「学校のみんなの前で息子のことや自閉症についての話をしたい」という思いを伝えていました。先生方のご理解もあり、まずは息子にとって一番近い存在である交流学級のお友達に対して、分かりやすい内容で話をしようということになりました。
話の当日、交流学級のみんなは、興味津々に教壇に立つ私を見つめていました。私も、そんな小さな瞳達を前にしていささか緊張していました。子供達とは対話形式で適度に質問をしながら話を進めました。
『なんで、りょうくんは上手にお話できないんでしょうか?・・・それは自閉症という病気だからなんです。自閉症はお喋りすることが苦手な病気なんです。思ったことをみんなに上手く伝えることが出来ません。』
『ところで、みんなは風邪ひいたり、お腹が痛くなったりすることがあるよね。・・・お薬を飲んだり注射したりしたら治るよね。だけど、自閉症という病気はお薬や注射では治らない病気なんです。りょうくんは、生まれた時からずっとこの病気があります。そして、これからもずっと一生自閉症のままなのです。』
『りょうくんには優しくしてあげて下さい。・・・りょうくんは、うまく喋れないから、せっかくみんなが優しくしてくれても知らんぷりしてしまうこともあるかもしれません。でも、りょうくんは本当はうれしいけど上手く言えないだけですからね。・・・小学校のお友達はみんな優しくていい子ばかりです。だから、おじちゃんやおばちゃんも安心してりょうくんを小学校に通わせることができているんですよ。』
という感じで話をしました。お友達はみんなわかってくれたようです。最後に自宅での息子の様子を付け加えました。お手伝いをしてくれることや、小さい頃からピアノを習っていること、それに新幹線の駅を全部言えることなど、クラスのみんなはとても驚いて感心してくれました。息子への興味が増してくれたようでした。
話の翌日、早速息子に声をかけてくれたり、優しくしてくれたりする子がいたと担任の先生から聞きました。そんなお友達の優しさに嬉しい気持ちになりました。
でも、もちろんこれで終わったわけではありません。
むしろ第一歩を踏み出したのだと思っています。
息子は、いずれは学校を卒業して地域のなかで、社会の中で暮らしていく事になります。
そのため今のうちからより多くの地域の子供達にその障害について理解しておいてもらう事が大切ではないかと考えています。
今後は、クラスだけではなく学年全部、そして最終的には全校児童や保護者に向けて何度も繰り返して話をしていこうと考えています。
この一年は息子にとって飛躍の年でした。そして、私たち親にとっても飛躍の年であったのかもしれません。息子とともに私たち親も成長していくのですね。
(りょうくんのパパ)
事務局だより |
新年度が始まりました。後楽園の開花宣言に遅れること4日、赤磐市の桜も今見ごろを迎えています。また今赤磐市では、桃の花もかわいらしく咲き誇っています。たくさんの桃畑を見にぜひいらしてください。岡山市内から車で20分。案外便利な場所に事務局はありますよ(笑)
さて、2・3月は本当にめまぐるしいほど忙しい毎日でした。
そんな中、ついに私も風邪でダウン。いつも行く内科の担当医に「大丈夫?顔色悪いよ」と言われました。・・・体調悪くて顔色悪いから病院に行ってるんですけどね・・・。皆様も季節の変わり目、体調管理に気をつけてください。
3月末締め切りの原稿を先日ギリギリに完成させて提出しました。
何の原稿かって? まだ内緒。発売日が決まったらお知らせしますね。内容としては「兄弟児としての思い」を短い文章で掲載していただけることになったのです。
こういう事務局だよりのような文章を書くのはすぐできるのですが。文字数指定があって、内容指定があって、自分の言いたいことがたくさんある時は・・・苦労しました(^^;)
兄弟としての思いを少しでも代弁できるような文章になっているといいなぁと思います。
あー。でも、もっと色々言いたいことあったなぁ。また何かの機会に紹介できるといいと思います。
(事務局:鳥羽 紗代)
以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
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