「2021年自粛期間中の森永乳業幹部社員のゴルフ大会」
への抗議声明と、厚労省への公開質問状の発信について。





https://www.zaiten.co.jp/article/2022/04/post-436.html

 森永ヒ素ミルク中毒事件資料館は、標記の件に関し、2022年2月24日、岡山県庁の県政記者クラブにて記者会見を実施し、以下の抗議声明を発し、厚生労働省に対し公開質問状を送付した。
                              
【会見要旨】 
 先月、森永乳業株式会社社員と思われる人物から当館に対し内部通報があった。新型コロナ禍で「蔓延防止措置」が継続し、4度目の「緊急事態宣言」の発出が確実視されていた東京都において、昨年2021年7月10日、森永乳業の宮原道夫会長、大貫陽一社長をはじめ同社幹部ら総勢29人が大規模なゴルフコンペを開催していたとし、それに参加した幹部社員名簿を添えた告発である。同社社内の27名の幹部社員と2名の子会社社長の氏名が記載されている。子会社のうち一社は病院食などを製造する企業で新たな加害を引き起こしかねない行為である。告発内容は経済誌『ZAITEN』既報の事実と概ね合致した。

 見逃せないのは、(1)参加者の中に、同社が1955年に引き起こした森永ヒ素ミルク中毒事件の被害者との折衝(※1)を担当する渉外本部長及び副本部長がいることである。加えて監査役までもが参加。その二日前に、森永は自社の社員に対しては「不要不急の外出や地域間移動だけでなく、プライベートな友人・知人との会食などの自粛」(※2)を要請していた。

 同事件により、現在も重い後遺症を抱え、諸感染症への重症化リスクの高い基礎疾患を抱える被害者が多数いる。寝たきりの者もまた多数である。不顕性感染により新型コロナウイルスが被害者に到達すれば最悪の場合、死に直結しかねない。この警戒心が全く感じられない同社の体質は異常であり、自らが傷つけた被害者の生命と健康を一顧だにしない、森永乳業株式会社の行いに対し、厳しく抗議する。

 さらに重大なのは、今回寄せられた情報には、(2)渉外副本部長の森田隆史氏が国、森永、現被害者団体等で構成する厚労省所管の「公益財団法人ひかり協会」評議員であるという指摘が追加されていることである。
 (1)(2)が重なり、高確率で被害者への感染拡大を招きかねない行為である。
 告発者はこの件を現被害者団体「森永ひ素ミルク中毒の被害者を守る会」へも連絡したとのことだが、「森永の作戦でおだてられ勘違いしている」からか「動きがない」(※3)として当館へ内部資料を送ってきた。加害企業の心ある社員の目にも、現状の森永と被害者団体、国・厚労省の三者は「異常を異常と認識できない」奇異な存在として映っているようである。

 森永乳業は、いまや事件の痛みと教訓をすっかり忘れ去り、自身が傷つけた被害者の生命さえをも再度軽んじる行為を行っていると言える。またこれは、国が直接関与する「公益財団法人」の構成員として参加しておきながら、関係者への新型コロナ感染拡大も厭わない加害企業の姿である。2000年に入って森永は公然と事件史を歪曲するなど(※4)してきたが67年間たって露骨化させた被害者軽視、事件への無反省な姿は看過できないものがある。

 今回の内部告発は、我々事件の被害者家族が監視している結果とも符合する。森永乳業は森永ヒ素ミルク中毒事件被害者への追加的加害行為に繋がりかねない事態に対してどのような説明責任を果たすのだろうか。
 監督すべき国・厚労省は、同事件に関して、かつて森永乳業の代理人として事件を封殺するため、不正な第三者委員会で世論操作の先頭にたち、大学医学部への資金散布法人を認可するなど、御用学者や後遺症を封殺する「官製検診」の後ろ盾として、被害者圧殺に手を貸してきた。今世紀に入っても、被害者軽視の姿勢は是正されず、被害者名簿の東京地下鉄内紛失事件など重大な不祥事が後を絶たたない。(※5)

 今回は同省が後ろ盾となり関与する財団メンバーのモラルハザードであり、同省に公開質問状を発する。そのなかで、事実確認を進め、説明責任と加害企業への監督責任を果たすべく要請を行う。

【註釈】
※1.渉外・折衝といえば聞こえはいいが実際は、被害者救済運動を担っていた親に対する買収と供応の高機動性をもつ専門部隊であった。 
※2 経済誌『ZAITEN』2021年10月号(51頁) 
※3 2022年1月に当館へ寄せられた内部告発文書より。
※4 中坊公平との雑誌対談での同社幹部の事実歪曲発言、関西テレビでの虚偽放映内容を参照のこと。
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-poster-00.pdf
※5 2013年に厚労省職員が森永ヒ素ミルク中毒事件被害者455人分の氏名と住所データを記載した名簿を持ち歩き、東京都内の電車の網棚に放り挙げて座席で音楽を楽しんでいた際、この名簿を紛失した事件。 
http://ww3.tiki.ne.jp/~jcn-o/morinaga-hiso-kouseiroudousyou-syokuin-higaisyameibo-hunsitsu-jiken.htm

↓厚労省に対する第一回目の公開質問状 2022.2.24-10:30発送
2013年の厚労省不祥事から累積すると、当館としては厚労省への第4回目の公開質問となる。






事件の概要は、以下の文献、及び当サイトの
学術論文アーカイブ1.
学術論文アーカイブ2.
及び
事件50年史
デジタルアーカイブコーナー
事件の概要コーナー  
Wikipedia 大量改ざん事件
未だ横行する嘘とプロパガンダ

検証:弁護士の言説

被害者が「基金」告発
被害者団体幹部の本末転倒した実態

能瀬訴訟T 一審 2009-2012(被害者団体を告訴 被告:被害者団体に有罪判決、損賠支払い命令)
能瀬訴訟U 控訴審2012-2012 (被告:被害者団体の控訴棄却 一審判決補強される)

森永乳業・顧問2002年から歴史の歪曲を再開
未だ横行する嘘とプロパガンダ

最近、森永乳業幹部が流し始めた珍説(1点紹介 
等々 からも、ご覧頂けます。

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↓現在の問題点にまで踏み込んだ能瀬英太郎氏のレポート



↓能瀬レポート 英語版  (Nose Report)The Morinaga Milk Arsenic Poisoning Incident  50 Years On   by Eitaro NOSE



表向き「公正中立」を偽装して登場した「第三者委員会」が、被害者を無視して
勝手に作った不正な「診断基準」。その文中に使われた「原病」という表現に
ついての解説つき。↓
能瀬レポート日英対訳版 
まだ解決を見ない日本の戦後初の産業公害 
PDF:136KB 
(著作権Free: 英語教育の教材等ご自由にコピーしてお使い下さい。)

(日本における第三者委員会方式は森永事件以降、常用され、水俣病でも被害の隠蔽に活用されるようになる
という要注意なもの。)

↓救済システムでの問題発生を学術的視点からすでに予期している秀逸な論文。





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