住宅専門の設計士

 建築士の集まりである日本建築士会連合会では2003年からは耳慣れない言葉ですが、CPD・専攻建築士制度を運営しています。

 あなたが病気にかかったとき、内科の先生に手術してもらいますか?皮膚科の先生に出産を依頼しますか?日々医療技術を学んでない先生に高度な手術を託しますか?
 CPD:Continuing Professional Development は「努力する建築士の証」として 「建築士の継続的能力開発の実績を建築士会が登録し、社会へ表示する制度」です。欧米では専門職の方は、継続的に技術の向上を図る研修を実施しているようです。日本でも医師などの団体では、このCPD制度をいち早くから取り入れ展開しています。現在では、日々能力研鑚しないと時代に遅れてしまい、消費者に信頼してもらえなくなります。
 そこで、実務をしている方、講習会などへ出席して研修している方、住宅相談会など地域活動している方などを、単位数として評価し、建築士会は公表しています。 2006年18年1月現在 全国で26,388名の建築士がCPD登録しています。 あなたの知り合いの建築士のお名前はありましたか?なければ、あまり日頃、建築の勉強されていないかもしれません??

 専攻建築士制度は「仕事のできるプロの証」として 「建築士の専攻(専門)領域を建築士会が認定・登録し社会に明示する制度」です。建築士会では、医師が内科や外科といった専門を表示しているように、建築士にもその人の専門技術領域や得意な分野が分かるように、まちづくりや設計、構造、環境設備、施工などの生産、棟梁、法令、教育など「専攻建築士制度(8つの専門分野)」を設けています。

 今までは、一級建築士であればなんだか、建築のことならすべて任せられると思っていたが、現実は建築士は各種の専門の分野で実務をしています。時には、設計が専門でない建築士に設計を依頼し欠陥建築になることもあります。
 そこで消費者の皆さんの保護を目的に、設計専攻建築士なら一定の件数の設計の実務があり、所定の研修CPDを実行している建築士を、建築士会が評価認定しています。

 この制度では、実務実績があれば得意分野や、より専門の分野も表示できるようになっています。
 建築士会では「専攻建築士=信頼できる建築士」と位置付け、本年度上期で全国で2,325名(中・四国364名)の専攻建築士が誕生し、2006年10月現在全国で10,376名の専攻建築士(中・四国650名)が登録されています。

あなたの住宅を設計していただいた建築士は設計を専門にする設計専攻建築士でしたか?
 私の所属する岡山県建築士会でも、「CPD・専攻建築士運営委員会」にて、建築士からの申請書が適切か、専門分野での実績はあるか、審査されます。また委員会で承認されたら、岡山大学の教授が座長で、弁護士の先生、行政、建築団体の長、消費者代表の方などで構成される審議会にて、申請が正しいか?審査されます。
ここでは、全員の申請書が再度チェックされ、問題ある方、実務が不明の方は却下されます。審議会で了承された方について、東京の建築士会連合会に送られ再度審査され、無事専門分野を消費者の方にお見せできる、専攻建築士として認められます。

 私の場合、はじめて設計をさせていただく方には、専攻建築士のカードをお見せし、設計の専門である旨提示しています。また私の場合は、設計の中でも得意分野として戸建住宅、医療施設を認定してもらっています。