住宅の設計や工事のことなど、住まいについての質問・相談をまとめました。
- 完成した住宅に関して保証制度が新しくでき、安心して住宅取得できると聞きましたが、どんな内容の法律ですか。
- 瑕疵(かし)とはどんなことですか。
- 岡山県ではどんな木が入手できますか。また良い木なのですか。
- 松の丸太の梁に青い筋が浮かんできましたがなぜですか。
- 簡単に良い工務店を見分ける方法を教えてください。
- 大手住宅メーカーでなく地方の工務店に建ててもらうと、倒産などにより無事完成できるか不安です。
完成した住宅に関して保証制度が新しくでき、安心して住宅取得できると聞きましたが、どんな内容の法律ですか。
平成12年に住宅のずさんな工事を防ぐため「住宅の品質確保の促進に関する法律」(略して品確法といわれています)が設けられ、住宅の性能の向上と工事中の検査体制も充実させてきました。以後、すべての新築の住宅に対して、基礎構造部分や雨漏りに対して10年間の瑕疵保証責任(補修責任)を建設会社に義務付けられました。
しかしながら、施工した建設会社が倒産したり、姉歯元建築士によるマンションの構造計算偽装などでは被害があまりに大きく、現実には建て主さんが建替えの保証が得られませんでした。
こうした反省に立ち、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が平成21年10月に全面施行されます。第三者期間による基礎や軸組の検査の義務化とともに、完成後工事に不備がある場合、全ての住宅に保険にて弁済されます。また、販売会社や施行建設会社は保険加入または実績による供託金提示が必要になり、安心して住宅を取得できます。
瑕疵(かし)とはどんなことですか。
一般的には住宅の欠陥部分を瑕疵とよんでいます。「住宅の品質確保の促進に関する法律」でも、取得した住宅の全ての部分に、10年間の瑕疵保証責任が建設会社にあるわけではありません。
原則的には「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」になります。その他のヶ所や機器類の瑕疵期間や保証については建設会社との請負工事契約を確認ください。
大切なことは、安心できる工務店さんに施工してもらい、建築家などの専門家に工事を監理してもらうことが欠かせません。
岡山県ではどんな木が入手できますか。また良い木なのですか。
岡山の木は「美作材」と呼ばれ全国的にも優秀な木材として知名度もあります。木材の品評会で何度も農林大臣賞を受賞したと聞いています。
岡山県北には、大手の製材会社が何社もあり県北の主要産業にもなっています。とくに岡山の製材所は木材の人工乾燥技術が全国的にも優れ良材を出荷できる要因になっています。
岡山に住んでいると、なんだか岡山産より吉野や秋田の方が重宝しがちですが、全国的に岡山産の木材の品質は良いです。岡山県北の原木市場では、中国地方の山林はもとより、遠くは九州・四国からも丸太が入荷し、県北で製材して「美作材」として関西方面に売られています。
岡山生まれでない木が岡山産として売られるのにちょっと疑問を感じます。一度製材所から出荷されると、どの山から伐採されたのかは分からないのが実状です。私は「出きる限り木の取れた産地が分かるようにしたい」と、ことあることに関係者に働きかけをしています。
岡山県北の森林で伐採している木材は杉・桧・松があります。とくに杉は戦後植栽した木が60年以上たち住宅に使用できるまでに成長しています。こうした木を使って住宅を建てるとCO2の削減や森林の保全につながります。
また、岡山は松の産地としても有名で、岡山産の桧や松のフローリングや松の天板・階段板なども良いです。都会では高価で入手しにくいです。ぜひ、こんな岡山の木を使って家造りをすることをお奨めします。
松の丸太の梁に青い筋が浮かんできましたがなぜですか。
松を切った時の時期が悪いと梅雨頃から青い筋(カビ)がでてきます。松などの木をを切るのに適しているのは、成長の止まる11月から3月ごろで、かつてはこうした時期に伐採した木材が材木店で手に入りました。
しかし、現在は余分に在庫しないため伐採時期を無視して、使用する直前に水分の多い木を切っています。こうした水分を多く含む松丸太に青カビが出てきます。とくに昔から梁に使用されていた松丸太は単価が安いが、プレカット工場では大工さんの手加工になるため採用はしなくなりました。
今では、伐採時期(切り旬)を守った松材を得るのはほとんど困難に成りました。でも、根気よく製材所を探せば岡山県北では入手可能です。
簡単に良い工務店を見分ける方法を教えてください。
始めてお会いする工務店の力量をはかるのはむずかしいですね。
まず、完成見学会に行かれたり、建設会社を訪問した時、住宅の設計図を見せてもらってください。そして、何枚ぐらい図面があるか確認してください。A2サイズで20枚以下の図面枚数だと、すべての使用部材や商品が明示されてないと思って良いでしょう。
図面の記載が少ないと現場の監督さんの裁量で、どうにでもやりくりできます。私たち設計事務所が住宅を設計すると約30枚前後になり、商品名まで記載します。
また、見積書も見せてもらってください。ページ数は多いか、一式ばかり記入されていないか、細かく明記されているか。使用部材の商品名がかかれてあるか(一般名で書かれるとどんなメーカーの材料でも使用できます。物によって何倍も単価は違います。)確認してください。
図面をしっかり書き、見積が明確な会社は安心できるでしょう。
また、工事中の現場も見せてもらうと参考になります。できれば、現場見学会以外の現場を見せもらってください。いつも、現場が整理整頓され、きれいな現場の建設会社は安心できます。
大手住宅メーカーでなく地方の工務店に建ててもらうと、倒産などにより無事完成できるか不安です。
ニュースなどで「住宅建設会社が倒産して、契約している住宅が完成しなくなった」などの報道を見ることがあります。業務上こうした事態に直面することも予測され、私たちも他人ごとではないと思っています。こうした危険を感じるため大手住宅メーカーに依頼することも分かります。
財団法人 住宅保証機構で「住宅完成保証制度」という保証を国がバックアップして設立し、多くの建設会社が加入しています。万が一契約している建設会社が工事中倒産した場合、前払い金の保証や割増になった工事金額の保証や引き継ぐ建設会社の紹介などを保証してもらえます。
また、この保証を適用できる建設会社は事前に経営審査などの登録申請が必要となります。こうした保証制度に加盟している工務店と契約し、保証制度に加入するとこうした不安も解消されます。
こうした登録工務店と契約すれば大手ハウスメーカーでなくても、安心して工事をお願いできます。
また、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が平成21年10月に全面施行されれば、地域の建設会社への不安はなくなります。
もっとも、最近では大手の会社さえ安心とは言えない時代になりました。倒産まではいかなくても、住宅受注減少により支店・営業所撤退などは多いに考えられます。また、担当者も転職すれば相談窓口先もなくなってしまいます。