Iwさんとの出会い −自然素材住宅をめざして−

 Iwさんは工業系の化学試験のお仕事をされ、日頃の業務で石油系溶剤を扱われていました。そのためか咽喉や鼻にシックハウスの症状を感じるようになられたそうです。
 そんな折、子供の成長にともない住宅の取得を決断され、住宅展示場にてモデルハウスを何社も訪問されました。こうしたハウスメーカーのモデルハウスに入ると、咽喉や鼻に違和感を感じることが多かったそうです。
 時には、訪問前に充分換気してもらったモデルハウスもあったそうですが、一向に鼻や咽喉の違和感は改善されなかったそうです。
 住宅についての知識が深まるうち、こうした症状は高気密・高断熱の住宅に顕著に見られることに気づかれました。特に集中計画換気している住宅の洗面所やトイレ廻りにて症状が高くなり、ホルムアルデヒドの濃度も高いと感じるそうです。(恐るべき感知能力です。)
 そんな時、これから住宅を建てる不安から私の所属する「住まいづくりの会」に相談に来られました。そして一度、私の設計した自然素材を使った住宅の見学会を体験され、この住宅なら「大丈夫」と思われたそうです。また、会の主催するセミナーにも積極的に参加され、住まいづくりの知識を得られ、ご自分の住宅に生かされました。

Iw邸2003 木造2階建て
1階床面積 66.51u 2階床面積 45.97u
延床面積 116.19u(35.15坪) 地図 自然素材の家
図面1F平面図, 2F平面図

私の設計する住まいの方針

柱・梁はコストの許す限り国産材(岡山の桧の柱や松の梁)を使用
床材は無垢のフローリングを使用
壁は珪藻土の塗り壁(住宅の1/2から1/3以上使用)や自然系の壁紙使用(糊は自然系を使用)
天井は無垢の板や自然系の壁紙使用
断熱材は調湿効果のある天然ウール使用
室内から見える個所は集成材・合板は使用しない−無垢板の使用
外気からの遮熱のため外壁通気や小屋棟換気の採用
構造的強度を高める工夫−Dボルトの使用

などなど、体や環境に優しい住宅をめざしました。
そして、暮らしを楽しく、家の中で家族の様子の分かるプラン、個性ある住まいのデザインを大切にした住宅です。


左・大工さんとタイル屋さんで制作した洗面カクンターと棚、化粧鏡。右・1階のトイレー将来高齢になっても介護しやすく、トイレは広くしています Iwさんの住宅の方針

体に優しく、オシャレなデザインの住宅をご希望
私の設計した住宅を見ていただき、既製品のキッチンの内部と針葉樹合板F☆☆☆☆を床や棚に使用するとアルデヒドの匂いが感じることが判明。
詳細は
日本建築学会 会報誌 2004 vol.119 7月号にて 「F☆☆☆☆建材使用でもシックハウス対策は済んでいない!」記事掲載

左・大工さん手づくりの、食器入れと家電収納。家事中でも小窓から玄関の様子、子供の通学の様子が分かります。右・ステンレス製のキッチンーキッチン専門の会社に制作してもらいました その他は、私たちの「すまいの方針」で健康上支障ないことが見学会で体験してもらえました。
そこで、Iwさんの健康を考慮して、住宅の方針は上記方針のほか
 ・ 下地も含めて、合板の使用はすべてなくす。
 ・ 岡山産の桧の柱、岡山産の杉の梁を架構に使用
 ・ 1階床は岡山で製材した松の床材、2階は徳島の表面熱厚加工して硬くした杉の床材
 ・ 岡山の銘木店で集めた厚板を天板に使用
 ・ 壁は1階ケイソウくん塗り、2階はドイツ製リボス社の紙壁紙使用、一部土佐の和紙張
 ・ 内外部の塗装は、ドイツ製の塗料を高温多湿な日本にあわせて調合した自然塗料使用
 ・ タイルはデザインと手づくり感を大切にしてスペイン製など使用
 ・ リビング・食堂・キッチン・洗面・トイレに床暖房採用。冬場給湯代共で月15000円程度のガス代
 ・ 故郷のお父さんが、兵庫の県北で育てた森の、桧の丸太を住宅に生かすー岡山で製材しました
 ・ オールステンレスのキッチンを特注で制作するーステンレスの下地には人工大理石使用
 ・ タタミは農薬の残留の少ない健康畳使用
 ・ 電磁波の危険を避けて、ガラステーブルのガスコンロを使用  などなど

ダイニングからキッチンを見る リビングの吹抜 階段ー玄関の間のイギリス製アンチック ステンドガラス 2階寝室の和室ーロフトがあります 2階ホールの書斎コーナー 床暖房のあるダイニング・リビング