設計監理契約 − 建築士制度の改正案

昨年末に姉歯元建築士による構造偽装事件発生後、国土交通省の建築分科会の基本制度部会にて再発防止に向けて、建築士制度のあり方が審議され8月末に最終答申が出ました。その間、各建築団体に度々制度について質疑やコメントを求められましたが、今回は政府主導で国会で審議され、この12月の会期末に本国会で成立しました。今、私たち建築士が集まると、この改正の話題がよく出ます。

改正案では、かつてない大幅な建築士法の改正になります。
重要な視点は−消費者の保護−の観点をいかに確保できるかです。

法案の中で、これから建築士の業務のおもな変更

所属する建築士事務所の建築士は全員、講習会を3年以内に受けなければならなくなりました。・・いままで定期的に講習を受けるのは義務ではなかった!一度資格を取ってしまえば一生、勉強しなくても良かった!と言えます。
今後は講習会を受けた後も、修了考査があり、不合格になると合格するまで講習会を受ける必要があるそうです。この講習はおおむね建築士会が担当

7月には一級建築士の再試験を行い、不合格になると準1級建築士?に降格の噂もありましたが、最終的には修了考査が行われる模様、寝ながら講習受講ができなくなります。当然か、再講習になると恥ずかしいかも!!

建築設計事務所には、その事務所の業務を責任をもって管理する、専任の管理建築士がいます。この建築士も3〜5年ごとに講習会を受講しなければならなくなります。ちなみに岡山県ではすでに受講義務化しています。この講習はおおむね建築事務所協会が担当

役立つ講習会を期待!!

こうした講習会を受講しなかった場合は、建築士免許取り消しや開設取り消しになります。

今までは建築士になれば、すぐに建築設計事務所開設できましたが、管理建築士になるには、建築士になってから3年以上の設計の業務に従事し、管理建築士の講習会を受講修了しなければならなくなり、開設するには設計経験が必要になります。・・すごくあたりまえです!!

建築士試験を受験するには、所定の建築の科目の授業を修めている事が必要になります。また、実務経験には設計・監理経験が必要になるようです。今までは試験を受験できたが、今後受験できない方もでてきます。・・試験を受けれる条件が厳しくなるようです。

建築主と設計監理契約締結時には、管理建築士は重要事項の説明と書面の交付が義務化になります。あわせて建築士は免許カード(新たににつくられる)を提示する必要があります。−現在土地を購入するとき宅地建物取引業でありー
重要事項には図面の種類、監理の方法、従事する建築士の氏名、報酬額、契約解除等について説明することが義務化になります。特に監理業務の実効性が重視されるようである。

監理とは・・設計者の立場で、工事を監督すること(建主側)
管理とは・・工事施工者の立場で、工事を管理すること(建設会社側)

  • 今後は設計監理契約の締結が必要になるのではと思われる。
  • 監理内容のガイドラインが示され、監理を実行するようになる。
  • ただの設計監理契約は有りか?「ただでこれだけ仕事します」と言わないといけなくなる。
  • 今後の審議で建築士の業務報酬基準を見直し順守されるようになるようである。
  • 管理建築士が説明する以上、業務の責任は重くなる

これからは、業務を委託を受けた設計監理は、建築士事務所以外に委託(下請)出来なくなります。また、マンションなど一定規模以上の建物は一括して設計監理外注してはならなくなります

高さ20M以上の構造計算するには、あらたにつくる構造設計1級建築士が行うことになります。また、階数が3以上で、延べ床5,000u以上の建物は設備設計1級建築士が行います。

今後の審議で、住宅などの木造建築も構造計算が必要になる可能性あり。

建築士および管理建築士の名簿は公開されるようになります。
建築士は建築士会があたり、管理建築士は建築士事務所協会が役割を担う。
いままでは建築士の正確な人数、氏名、業務実態など不明点があったが、これで実態が把握でき、消費者に公開できるようになります。・・建築主に依頼する前に建築士や設計事務所の情報公開が大切だと思います!!管理建築士は実は経験のない建築士を雇っているだけ、なんてこともあります!!

建築士会や建築士事務所協会は建築士の加入率をあげ、常日頃からの研修の実施や能力開発(CPD制度)や実務の証明制度を立ち上げ、各登録された建築士について消費者に公開されるようになります。

以上、今回の改正で3年内に実施されます。私達の建築士の業務は多きく変わることになります。
今後とも実施に向け、細部が検討されようである。