新築住宅の耐震対策

1995年平成7年1月17日の早朝5時46分に発生した阪神大震災での建築物の被害は以下のようでした。

■ マンションのような鉄筋コンクリート造
建築年代の古いものが大きな被害を受け、1981年建築基準法改正以前の建物は大きな被害を受けた。現行の基準法の設計基準で設計されたものは、一部を除いて大破・倒壊といった大きな被害を受けていない。鉄筋コンクリート建物はピロティ形式および壁の配置が悪いものは被害が多く発生。
■ 木造住宅
日本の伝統構法の流れをくむ、古い軸組構法の住宅に大破・倒壊したものが集中する。 老朽化した1981年建築基準法改正 以前の建物住宅の他に大きな被害を受ける。 プレハブやツーバイフォーの住宅の被害は少ない。

これからの木造住宅の地震対策
軸組構法の住宅は、古い木造住宅(特に1981年以前の建物)は十分な耐震補強を行うー耐震リフォームを行う
新しい木造住宅では、十分な壁や筋交いの確保、偏った筋交いの配置を避ける

私の事務所の新築住宅の耐震対策

  • 筋交いは建築基準法の既定の1.2倍以上確保する
  • 当然必要な筋交い計算により筋交いの数を計算しますー現行申請では添付不要(審査機関により添付義務の県あり)なので計算されていないと大問題
  • 筋交いの両端部の柱の下の土台はアンカーボルトを設けないと地震の時、柱が浮き上がる(配慮していない場合が多い)
  • 小屋裏室の床面積部分を2階に筋交いを追加する(法令にあり)
  • 筋交いの配置バランスを考慮し、建物の隅は筋交いを配置する
  • 合板による筋交いの確保は避けている。筋交いにて法令確保する。
    合板の劣化・筋交いとして期待した場合の合板の釘打ちの信頼が確保しにくい
  • 土台は桧 12cm角を使用
  • 十分な数の火打ち土台、火打ち梁を設ける
  • 筋交いの取り付く柱には建設省告示第1460号第2号による金物を取り付ける
    特に、地震時の建物の浮き上がりを防ぐホールダウン金物は重要
    告示により接合金物を設定してないケースが多いと思う
  • 柱、梁、束の接合部は十分金物を使用し、現場で確認・追加指示する。
  • 内部から見える柱と梁の接合金物は省略しない。
    Dボルト(一部使用を認めていない県あり)など強度のある金物を使う
    Dボルトが使えない場合、代替金物を使う
  • 通柱の四方差しは柱の欠き込み欠損が多いので避ける。地震の時にこの部分が折れる可能性あり。四方差しになる場合は片方向を接合金物にする


リフォーム工事にも使える


プレカット時の施工図による打ち合わせが大切
当然ですが設計時の設計と上棟事後の現場確認・指示が大切です


最近は木造住宅の耐震性を高める工法、金物も使いやすさ・価格とだいぶ身近になりました。
以前は基礎床下にゴムダンパーを仕込む、免震工法が研究されていましたが、コストが500万円ぐらいと高く、一般住宅では普及しませんでした。

最近は、コストが安い工法の柱や梁に地震時に揺れを吸収する接合金物や、粘着テープを壁内部に貼る制震工法が脚光をあびています。有名なのはプレハブメーカーの宣伝に出る野球選手の松井秀樹のコマーシャルで宣伝されています。

以前から制震工法について検討をしてきましたが、ご希望の施主さんには対応をしています。
粘着テープの場合ー将来解体時に木材と分別しにくいたいめ、不採用。

いろいろ検討した結果、昨年完成した住宅では 鞄立製作所の 「減震くん」を採用。
この制震金物は、壁の中に小型ダンパーを入れ地震の時にこのダンパーにてゆれを吸収する。
ダンパーの製造会社は トキコ製
最大70%低減可能(メ−カーパンフレット)但しコスト面、取付け可能個所にてここまでは難しいです。
トキコの会社はこちら



昨年完成した住宅での採用例
このダンパーメーカーの使用例は、新幹線やビルにて実績あり。
小学校など公共建築の耐震補強にはこの大型ダンパー金物使用します。


特徴

  • 手軽に地震時の揺れを防げる
  • 必要ヶ所の構造計算が身近な日立ショールームにて対応可能
  • コストが比較的手頃
  • 取り付けが大工さんにて可能
  • 古い木造住宅でも使用可能



使用例

  • 大きい住宅で60-100万円ぐらい
  • 阪神大震災想定 地震時の減衰率 30%
    142uの住宅 2階 4ケ、 1階 12ケ設置
    ただし、建築基準法の定められた筋交いは設定必要ので、設置個所の確保が困難。
  • 大工さんは合板取り付けに力が要る
  • 設置個所は壁厚が必要

地震が来たとき、新築住宅が壊れないか不安な方は検討ください。