マンションの鉄筋不足

千葉県市川市の建設中の超高層マンションで、柱の鉄筋128本が不足し工事が30階部分でストップしていることについて。

姉歯元建築士やヒューザー、木村建設などと違い、マンション販売会社が野村不動産、建設会社が清水建設、設計が日建設計と業界のトップクラスのマンション工事で起きた鉄筋不足であるだけ、ことは重大である。

調査によると、鉄筋が30階部分で4本の柱にそれぞれ2本ずつ足りず、25〜29階でも60本の柱で計120本の鉄筋が不足とのこと。

   清水建設によると、ほかの柱は、大半が鉄筋20本で、鉄筋の取り付けを担当した業者(鉄筋会社?)が一律20本と勘違いしたという、「単純ミス」とのことだが 不思議である。1階あたり12本もの柱が誰もノーチェックであったとは?

もしそうだとすると、施工体制がずさんであることを意味する。

・ 鉄筋施工会社は意図的に手抜きするか?
東京オリンピックのころの高度成長時代と違い、現在なら鉄筋施工会社が鉄筋量を減らすため(鉄筋を安くするため)、鉄筋を間引くとは考えられない。発覚すれば大変なことになるのでありえないと思う。

  • 鉄筋工が柱の鉄筋を少なくするか?
    1本ならともかく、1階あたり12本 計128本もの鉄筋を抜くことは考えられない。こんなにすればすぐに発覚するはず。
  • 10月11日の専門機関による「住宅性能表示制度」の検査で発覚、それまで分からなかった?
    鉄筋工は図面を見て組み立てるので必要本数は知っているはず、間違っても鉄筋会社の上司が検査確認するはず。清水建設クラスの会社が適当な鉄筋会社を使っているか?もし鉄筋会社の責任なら建物全体が不安になる。
  • 建設会社の監督は1階あたり12本もの柱の鉄筋の確認をしていなかった?とするなら建物全体で確認されていない鉄筋が多いと推測される。
  • 設計の予定している柱の大きさ内に鉄筋が多すぎて、必要な鉄筋数が入らない?
    コンクリート打設する際、コンクリートが廻割りにくいケースはありえる。通常は鉄筋会社と納まりを検討して入りにくい場合、構造設計と柱サイズ大きくするなり現場会議で検討する。通常は鉄筋を減らすことはまず考えられない、柱が大きくなると床の有効面積が少なくなったり、部屋の広さが確保できなくて、柱サイズを大きくせず(できず)に鉄筋を減らしたのか?(普通はありえない対応)この場合構造設計と耐力確認が必要。建築基準法の耐力余裕の割増見ているので、法律の耐力は柱1本あたり2本鉄筋抜いてもOKこの場合がでるのでは?

    住宅性能表示に表示した構造評価が得られるかどうかは疑問である。

    もちろん、確認申請時とは構造計算が違うので変更工事前に審査機関と協議が必要。審査機関がOKでも販売会社の了解がえられるかは?

    等めんどうなことが多いので、鉄筋を抜いてそのまま工事した?
    などと推測してしまう。

    購入者への11月15日の説明会では、清水建設は柱のコンクリートを一部除去して鉄筋を追加する補修工法を説明。
    さすが、清水建設 こんな工事あるとは。「当初の設計図どおりの品質を確保する」とのこと、計画変更の手続きに約3カ月かかると見込みながらも、工程や工区を工夫して当初の予定どおりの時期に引き渡す」とのことだが、工期内完成が優先の工法?ではないように。

  • 日建設計の監理は鉄筋を検査しない監理契約?
    監理契約で検査の内容を限定した監理契約の形式があると?そんな監理契約の仕方もあるえるか?
    建築基準法では、「建築物の安全性を確保するために、工事監理者を定めなければならない」とあり、どんな小さな工事でも確認申請書類には監理責任を取る監理者の名前を書かされる。この場合、建築基準法としては監理者の責任は有限ではないのではと思う。この建物の確認申請での監理者はだれ?とすれば監理者にも責任はあるように思う。

参考資料はこちら・・千葉県夷隅地域整備センターより

設計事務所が監理した場合、全ての柱の鉄筋を確認することは難しいが、1階あたり12本もの柱であれば、抜き打ち個所検査はするので発見できるはず。また5 フロアーあればまずどの柱かで、もっと早く鉄筋不足に出会うと思う。こんなに大きな建物なら、通常専任の設計監理者がいる常駐監理を行い、ほぼ全ての柱の鉄筋を確認できる。特に階の柱で鉄筋量が違う場合、両方の柱個所は重点的に確認するはず。

業界としてこの件に止まらず、改めて施工生産のシステムと施工体制を再考、見直しをする必要がある。

このニュースが流れた当初、責任は鉄筋会社のミスとの見解があったが、今 料理界の老舗 船場吉兆の賞味期限偽装でシールの張り変えは「パート従業員の責任である」との吉兆の役員の話ににて、下請け鉄筋会社の責任では後味が悪い。

業界をリードする関係者だけに購入者が納得する対応はもとより、国民も納得する原因の究明と解決方法を期待します。